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文字数 685文字

 私が関心を示した顔をしていたら、
天地さんは、

「それにあいつは悪食でな。死んだ虫でも何でも食べてくれる。ゴキブリやハエ、蜘蛛までな台所に置いているよ。大きくてな、他に場所がない」

 はっ?そりゃ、奥さん逃げ出すわな。
呆れる俺の前で天地さんは、封筒の中身を見ていた。中には手紙とお金が入っていた。結構な額だ。そして、タッパの中身を確認しだした。
中身は?クサッ!

「う〜ん爬虫類の餌と。下には、ああ、
お握りがあった。人間の餌か、あはは」

と天地さんは笑いながら爬虫類の餌を横に取り出すと、お握りのタッパを開けて食べだした。よく食えるものだ、こんなクサイ臭いの中で、と思ったが。私もいつしか慣れていてコーヒーを何気に飲んでしまっていた。
 私は兎に角、この人に会って、聞く事を確認した。

「例のイベントの時に、何も無いんですよね。
何で斎藤さんは、あなたにそんな事、聞くんでしょうね。お金まで渡して。あっ!まさか!
経費で落ちてるんじゃ?不正だ不正流用だ」

と言うと。天地さんは、お握りの他に煮しめが入っていたのか。それと漬物とインスタントの味噌汁を作って食べていた。そして、

「安心出来るからさ。あいつは言ってたよ。
お前の研究は最先端科学だとな。止めないでくれと。だからこうして、たまに援助してくれる。そして、何かないかと聞いてくる」

「ではあなたは、その金で食い繋いでいるんですか?」

「あはは、まさかな。退職金は離婚の時、持ってかれた。気象庁辞めたら、嫁は息子を連れて出ていった。家をくれと言うかと思えば。
昆虫やら爬虫類の居る家など、要らないと言われた。助かったよ」

 はぁ〜?この人は・・・。
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