第3話 えりだと思ったらおくみだった

文字数 848文字

昨日えりの解体をしていて、布から糸をとっていった。
着物のえりは、『掛けえり』(首まわり部分)と『えり』(着物を胸前で合わせた、はしっこ部分。腰さきまである)部分にわかれている。
昨日『掛けえり』を取って糸をとった。こんどは『えり』部分だと思って糸を切っていたのですが。
着物が大きすぎて、部分があまりわからなくなってしまって、『えり』と『おくみ』という部分を一緒に解体していた。
なんだか、この着物は大きいのだ。十二単(じゅうにひとえ)で一番上にきるような感じで。(しかもけっこう派手というか、地味ではないことは確か)

私の体が小さいから、そう思うのだろうか。
とにかく大きい。

『おくみ』部分は、『前身ごろ』(洋服や着物の前の部分の布)と『えり』の間にある部分。らしい。本にはそう書いてあった。
(そして、この着物は本の通りの構造をしている。着物自体がみんな同じ構造なのだろう)

解体しているとき、なんか変だな、いつまでたっても終わらないなと思っていた。
確認のために解体中の着物を広げたら、左側のおくみ部分がなかった。
ああ、ここを解体していたのか……。
おくみは左右二枚あるので、明日は右のおくみの解体をしたい。

ところで、着物の解体作業をしていると、切った糸の処理がとても面倒くさい。
切った糸を指でとっていくのが大変。

そうだ、『とげぬき』で糸をつまんで布から引き抜けないか。
そう思い、裁縫箱をさがした。
そうしたら、とげぬきが入っていた。なんて行き届いた裁縫箱なんだろう。

ちなみにこの裁縫箱は母のものではなく、弟が小学校のときにつかっていたもの。
私の裁縫箱はどこかに行ってしまった。
見つけた裁縫箱には、小学校でそろえた一式がきちんと入っていて、とても使い心地がいい。
(おそらく弟はこの裁縫箱をひらいていなかったのだと思う)
とくに、糸切りばさみは最高。そして、とげぬきが入っているとは思わなかった。

とげぬきを使って布から糸を取る作業を再開したが、握力が必要でけっこう疲れる。

そうこうするうちに一時間がたったので、今日の作業は終了した。


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