『キズナの種』

文字数 210文字




積もった枝先から剥がれ
はらはらと風に乗る粉雪
ひとの想いを連れていく

死に方は生き方だよ、と
だから終わりくらい選べないものだろか、と
その言葉に、八十七年の重みを乗せる

心を溶かすものはなんだろう
髪に頬に冷たい雪が触れ
切れ切れの遠い記憶を呼び起こす

生きてきた足跡に
自らが蒔いてきた絆の蕾を見つけたとき
花開くために心は(ほど)けるのだろうか

降り積もる雪も
春には必ず溶けてきたように
花よ 今こそ咲き誇れ
そしてまた 次の春への種を置いてゆけ




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