第9話

文字数 561文字

家を出てすぐ、コンビニに立ち寄り、そこでエリにラインを入れた。エリとはラインを交換していた。

『家、出ました』(既読)

『行く当てはあるの?』(既読)

『マーラで住み込みで働きます』(既読)

『それもステキね。でも、うちに来ない?』(既読)

『ええ?!いいんですか?』(既読)

『勿論!』

そしてエリは、最寄り駅と、駅からの詳しい道順を送ってきた。エリの家は、あたしの実家(という名前で呼ぶのも汚らわしい)から、電車で5駅くらいだった。もう終電はないし、あたしは、歩きながらいろいろ考えるのが好きだから、エリの家まで歩いていくことにした。エリはタクシー代出すから、車を使っていらっしゃい、と言ってくれたが、そこまで甘える気にもなれなかったし。

3時間かかった。エリはずっと起きて、待ってくれていたみたいだった。エリの家は豪華なマンションの一室にあった。『これ、分譲かな。借りているとすると、月いくらくらい払っているのかな?』なんてことをあたしは漠然と考えた。チャイムを押すと、すぐにエリは出てきてくれ、まるで本当の母親のように、ぎゅっと抱きしめてくれた。

「ダダちゃん、あたし、あなたのことが好きよ」

「エリさん、あたしもです」

あたしは『世間一般の女の子』並みにイケてる男子にも興味があったから、自分はバイセクシュアルなのだと思うことにした。
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