第10話

文字数 364文字

抱き合って、キスを交わした後、ソファに座った。

自然とそうしていたのだが、ソファの上で、エリの膝枕であたしは寝ていた。エリがあたしを欲しているのは火を見るより明らかだったから、きっとエリはこの状況を喜んでいるに違いない、とあたしはどこか醒めた心で考えた。

エリはしばらく、あたしの髪を撫でていた。

やがてエリは言った。「私、実業家なの」

「私の会社で働いてみない?」

あたしは言った。「わたしはまだ風俗から抜け出す気がありません。これは復讐なのよ、エリ」

「バカげてるわ」

「うん」

それに、エリには言わなかったけれど、風俗で働けば、少なくとも独立を保つことはできる、と思った。経済的な独立を。

「明日も仕事に行きたいから、エリさん、あたし、寝ます」

エリは無言で寝室を指さした。エリのベットはゴージャスででかくって、二人で寝ても十分な広さだった。
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