第7話

文字数 438文字

エリはまるでネコ科の危険な獣のような体をしていた。細いしなやかな体で、白い肌の下には無駄のない筋肉が隠されているという感じがした。エリはその気になれば簡単にあたしの首を絞めて殺すことが出来ただろう。でもそんなことはしないと分かっていた。エリははっきりと口に出していったけれど、あたしのことを『とても気に入っている』からだ。

エリはアンケート用紙を渡そうとした黒服に中指を立てて帰っていった。濃密な三時間を終えてエリと別れた後、あたしはどっと疲れた。自分が別人になったかのような気がした。女とやったことはこれまでなかった。悪い気はしなかった。風俗で、女が女とやるのは、男とやるのと違い、『犯されている』という感じがしないものだと思った。

あたしはいつか、エリ専門の風俗嬢として働きたいと思った。それならばあたしも生きていけるのではないかと思えた。別の言い方をすると、このままではあたしは死んでしまうと思っていたのだ。それでいい、と思っていた。あたしはこの人生に『絶望』していたのだ。
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