第6話

文字数 375文字

20年前のファミレスから温泉へ向かう車の中、秀ちゃんとの会話を思い出す。
誕生日が私の親友と同じ日という事、三人兄弟の中間子だという事、母親が苦手だという事。
出会った季節が春だったから夏の秀ちゃんの誕生日におめでとうが言えなかった。
夏には消息不明だったし。

再会後どんな関係でもいいから、おめでとうを言いたい。
できればメリークリスマスも、あけましておめでとも。
再会前なのに気持ちが先走ってどうしようもない。

夜が明けた。
朝風呂に入り、ホテル自慢の朝食を食べ、気持ちを落ち着かせるために散歩に出る。
この温泉地は優しい空気に包まれている。近くにダムがあるせいかしっとりとしていて優しい。
パワースポットという言葉が頭に浮かんだ。秀ちゃんがいる場所は私のパワースポットだ。
吸い込む空気も何かキラキラしたものを含んでいる気がする。
いざ、20年ぶりに大好きな人の元へ。
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