音.

文字数 427文字

キーンコーンカーンコーン。
長かった1日から解き放たれるチャイムが鳴る。
「部活行くぞ!」「今日の放課後、駅待ち合わせで!」などの声が飛び交う。中学3年で部活も引退していた私は、その中を無言のまま通り抜ける。
そんな日々が送っていたある日。いつも通りに帰ろうとすると私の靴がなくなっていた。突然のことで立ち尽くしていたが、近くのゴミ箱に入れられているのを目にした。それが数日続くことになり、私は気付いた。これが、いじめだと。
誰がやっているのかは少ししてわかった。それは、特別仲が良かったわけではないが、悪いというほどでもないクラスメート4人組だった。いつか飽きるだろうと思っていたが、とんだ見当違いでいじめが卒業まで続くことを、当時の私は知らなかった。
靴を捨てられたのは始まりにすぎず、日に日にエスカレートしていった。グループでの話し合いになっても私からの意見は無視され続け、何をするにしても蔑んだ目で見られるようになった。
そして私は次第に声が出にくくなった。
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