陽だまり.

文字数 304文字

色彩がない。音も。まともな心も。
もう全てがどうでも良くなってしまっていた。生きることが苦痛でしかなかった。死ぬことを考えない日もなかった。
ある日のこと。幼稚園に通っていた頃からの友達が声をかけてきた。彼女は、私のクラス内での扱いに気付いていたようだった。言うのが遅くなってごめん、と謝られた。そんなこと言う必要はないのに。そう思ったが、声にならなかった。
それから、私が1人でいるときに寄り添って気持ちを聞いてくれた。まだ私がこの世に存在していることを証明してくれる唯一の希望だった。
彼女は暖かい陽だまりのような人だった。心の底から感謝したし、彼女のおかげで日常に彩りも戻ってきた。
校庭にはもう桜が咲いていた。
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