窶れ.

文字数 358文字

気がつくと季節は冬になっていた。
朝は、誰か気づいてくれという願いを鞄に詰め込んでいるのに、絶望と虚無感を背負って帰宅するだけだった。
周りの皆は高校受験のことで必死になっていた。私は日々を生き抜くのに精一杯で、とてもそれどころではなかった。食欲もわかなくなっていた。この時は信じられないほどに体重が落ちた。
家族は痩せていく私に気付いていた。しかし、何故だか家族には相談できないと思っていた。これは私の問題で、家族に話してどうにかなるものではなかった。今になれば、話せば少しは違っていたのかとも思う。家族に限らず、先生や友達に打ち明けていたら...でも、それは思っている以上に難しいことだった。
目に見えてわかるほど痩せた私は、制服のサイズも体に合わなくなっていた。私自身がこの世界に似つかわしくない存在となりつつあった。
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