第9話:1級建築士の合格指導教室

文字数 2,198文字

 具体的には東京株式市場が始まるときに連絡すると言われ、少しして1080万円で買えたと連絡があった。山下専務の所に年始の挨拶に行った時に伊藤君の伊藤設計教室は評判が良いみたいだと言い伊藤設計教室から一人でも多くの一級建築士、一級建築施工管理技士が増えれば、すぐに課長に昇進させると言ってくれた。昨年は新たに100人が一級建築士、一級建築施工管理技士に合格した。今年は、どれだけ、増えるか楽しみだと言ってくれた。

 1981年2月に教室で使う教材を史郎自身が作成し建築士試験の過去の問題集を調べ上げて傾向を考えてまとめ上げた資料と合格するためのモチベーションを高める心得を書いた資料の2種類を並行して学習してもらう様に考えた。これが合格に早道になる方法だと信じて熱意を持って生徒を教える様に心がけた。史郎自身も自分のこの会社での目標が決まり、その道をまっしぐらに突き進む決心がつき、俄然やる気が上がった。

 毎日、5人ずつの生徒を午前、午後に分けて3時間ずつ教えるスケジュールで、関東の各支店の建築関係者が対象で、その数は入社1年生から3年生までを対象とすると千人を越える数であり、目標の資格を取ると終わりになる。一応、月に1回ずつの勉強としていつので月25日として250人が研修できる。この仕事は専門職であり教育者手当が欲しいと単刀直入に言ったところ言いたい事はわかる。

 だから君を今年の春、1981年4月に課長にするつもりだと年始に話した訳だと言うと、それに対して史郎は、その話は、ありがたいと思っていますが、この仕事は出世と言うよりも特殊な技能が要求される専門職で特殊手当の方が妥当だと思いますと言った。今後、私の後に続く人間のためにも、そう言う考えの基に処遇された方が合理的で良いと思いますと続けた。確かに君の言う事にも一理あると言い、わかった専門職と考えて処遇する事にしようと決めてくれた。

それで幾ら欲しいのかと言われ専門職手当手として基本、月に10万円、その他に成果によってボーナスの査定と昇進を考慮していただきたいと言った。すると、確かに、その方が合理的かも知れないと頷いてくれた。総務部長に専門職手当と業績査定はボーナス査定と昇進と言うことで伊藤君の言った通りの条件で処遇するように指示しておくと約束してくれた。その後、1981年の4月に教育研修課長に昇格した。

1981年5月、転職し仕事も決まったので結婚式をしようと言い早苗さんと結婚式場はホテルニューグランドと決めた。早苗さんが随分、待たされたんだから婚約指輪も買ってと言われ了解した。今週の土曜日、元町にお母さんと一緒に行きましょうと言われ出かけた。子供は、お父さんに預けて2時間で戻ると約束し出かけた。元町のスタージュエリーに入り早苗さんに婚約指輪と結婚指輪、日頃、お世話になってる、お母さんにも何か宝石を買ってあげると言った。

 お母さんが悪いわといいながら満面笑顔で、ありがとうと言った。史郎が一緒にいるのも変だと思い店内の喫茶店で待った。1時間程して決まった様で見せに来た。婚約指輪が金の指輪、結婚指輪は内側に名前のイニシャルと結婚する日を刻印できる指輪にした。お母さんは以前から欲しかった青のサファイアのペンダントに決めた。精算の時、ダイナーズカードで決済した。それを見ていた、お母さんが、すごいカード持ってるのねと驚いた。

 親の財産もらったのでと軽く笑った。その後、近くのウチキパンのイングリッシュブレッドとポンパドールのフランスパンと調理パンを買って帰り珈琲と紅茶を入れて、美味しいパンを選んで、ゆっくりと食べた。買ってきた婚約指輪とお母さんのトパーズのネックレスをお父さんに見せると、えー、お母さんにもプレゼントしてくれたのかいと驚いて、悪いね、大きな散財させてと言った。いいえ今までの恩返しですよと史郎が笑った。

 お父さんが50万位したのかと言うと早苗さんが100万円位したのよと言うと大丈夫か史郎君と肩をたたいた。すると早苗さんが史郎さんて名家の出で、お金持ちらしいから大丈夫でしょと言った。お母さんがダイナーズカードで支払ってくれたのよと付け加えると、あのカードは1千万以上持っていないと作れないと以前、聞いたと驚いて言うと、みんなに喜んでもらって良かったと話をそらす様に史郎が言った。

 お母さんが史郎さんて秘密が多い様で、まるでゴルゴサーティーンねと笑い、調子に乗って早苗さんが結婚したら、その正体を暴くわよと言うと大笑いとなった。アクアラインの協議会に参加君は、このプロジェクトの協議会にも積極席に参加して意見を述べていて会議をリードしていた。その姿に惚れ込んで我が社に引き抜いたんだよと話してくれ、史郎は話のわかる山下専務に感謝しありがとうございますとお礼を述べた。

 その時、君の実力の高さは吉川部長の言っていった通り素晴らしい今後の活躍を期待してるよと肩をポンとたたいてくれた。SM建設に入ってもアクアラインの協議会に参加して欲しいと言われて出席する様になり1981年11月には日本道路公団が「東京湾横断道路の調査概要」をまとめ翌年の1982年8月に第9次道路整備5カ年計画案において「調査を完了し、建設に着手する」と明記されたが、なかなか工事着工されなかった。
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