第6話 里親宅へ
文字数 879文字
夏休みに入り、私は兵庫県姫路市の里親宅へ向かった。
私の担当の田畑さんは、ひじから下が両腕ともない人で、
でも器用にブラシで髪の毛を自分でとかしたり、箸やスプーンで食事もする。
彼女の仕事は私と里親さんのサポートのようだ。
姫路からバスでどんどん田舎に入っていく。川や田んぼ、山、林。
六甲山に登ったことはあるけれど、畑や田んぼよりも住宅の方が多かったから、こんなアスファルトの面積が少ないところは初めてで新鮮だった。
「よく来たね。遠かったでしょ?疲れたんやない?」
バス通りに近い平屋の一軒家。
ふくよかでしっかりした感じの里母とシュッとした優しそうな里父、
高校1年のお兄ちゃんとなる人の3人に出迎えられた。皆背が低く、私とそう変わらない。
玄関入って左にお兄ちゃんの部屋。ドラムセットがあった。
右側には4畳程の和室。そこは大きな仏壇があり、その仏間の南側の部屋に案内された。
片ファスナーのクローゼットに白いベッド。机に白いチェスト。漫画に出てくるような個室。
そして、先に送った仏壇がチェストの上に鎮座していた。
「これね、どうかなと思って。着替えたらお昼にするから、向こうへきて。」
里母から渡されたのは麻生地の白いワンピース。ウエストと襟、ポイント的に緑のラインと刺繍が施されていた。
「綺麗・・・」
ピンクや水色のワンピースは何度もお母ちゃんにオネダリしたけど、買ってもらえず、買ってくれるのは何故かいつも渋い模様や茶色とか藍色だった。どれだけ憧れていたことか。だから凄くうれしくて・・・早々に着替えて、私の家から運ばれた三面鏡の前に立った・・・
「似合わない・・・・」
憧れてたワンピース、ドキドキして舞い上がった気持ちは一気に落ちた。
色黒な肌とアトピーが、素敵な憧れのワンピースを台無しにしていた。
「薄いきれいな色は色白な肌が似合うのか。あ~あ、もぉ…!」
深いため息と共にどさっと椅子に腰かけた。
「あ・・・」
一旦沈んだ気持ちは、ダイニングからのおいしそうな匂いで、たちまちふわふわホッコリに変わってしまった。単純である。
そんな彼女の単純さが、
僕は結構気に入ってしまったのだ。
私の担当の田畑さんは、ひじから下が両腕ともない人で、
でも器用にブラシで髪の毛を自分でとかしたり、箸やスプーンで食事もする。
彼女の仕事は私と里親さんのサポートのようだ。
姫路からバスでどんどん田舎に入っていく。川や田んぼ、山、林。
六甲山に登ったことはあるけれど、畑や田んぼよりも住宅の方が多かったから、こんなアスファルトの面積が少ないところは初めてで新鮮だった。
「よく来たね。遠かったでしょ?疲れたんやない?」
バス通りに近い平屋の一軒家。
ふくよかでしっかりした感じの里母とシュッとした優しそうな里父、
高校1年のお兄ちゃんとなる人の3人に出迎えられた。皆背が低く、私とそう変わらない。
玄関入って左にお兄ちゃんの部屋。ドラムセットがあった。
右側には4畳程の和室。そこは大きな仏壇があり、その仏間の南側の部屋に案内された。
片ファスナーのクローゼットに白いベッド。机に白いチェスト。漫画に出てくるような個室。
そして、先に送った仏壇がチェストの上に鎮座していた。
「これね、どうかなと思って。着替えたらお昼にするから、向こうへきて。」
里母から渡されたのは麻生地の白いワンピース。ウエストと襟、ポイント的に緑のラインと刺繍が施されていた。
「綺麗・・・」
ピンクや水色のワンピースは何度もお母ちゃんにオネダリしたけど、買ってもらえず、買ってくれるのは何故かいつも渋い模様や茶色とか藍色だった。どれだけ憧れていたことか。だから凄くうれしくて・・・早々に着替えて、私の家から運ばれた三面鏡の前に立った・・・
「似合わない・・・・」
憧れてたワンピース、ドキドキして舞い上がった気持ちは一気に落ちた。
色黒な肌とアトピーが、素敵な憧れのワンピースを台無しにしていた。
「薄いきれいな色は色白な肌が似合うのか。あ~あ、もぉ…!」
深いため息と共にどさっと椅子に腰かけた。
「あ・・・」
一旦沈んだ気持ちは、ダイニングからのおいしそうな匂いで、たちまちふわふわホッコリに変わってしまった。単純である。
そんな彼女の単純さが、
僕は結構気に入ってしまったのだ。