第8話 気持ち悪い・・・

文字数 610文字

「ほ~~らおしおきだぁ!!」
「!!」
組みつかれた瞬間、頭を下へ押さえつけられ、相手の膝に乗っかった状態でスカートをめくりあげられた。
「ペシ、ペシ!」
小6の私の尻を叩く高1の里兄。
「いやっ!やめて!!」
里兄の足をガンガン叩いて、体制が崩れたところで逃げたが、
驚きと恥ずかしさと怒りで顔が高潮し、里兄をにらみつけた。
お~~こわっ!という風に首を傾げた里兄に

「こら、正信、いい加減にしなさいよ」
ほほえましそうに(たしな)める里母。

私は自室に逃げ込み、戸を閉めた。

「おかあちゃん・・・」
気持ち悪い・・・
単なるおふざけ?なの?
でもなんか嫌だ。
お尻を強く叩かれたわけではない。
でも、気持ち悪い。
気持ち悪い。
ふらふらとベッドにもぐりこんだ。

少し前、里母に叱られたときに、
里母は、謝った私に両手を広げておいでという仕草をした。
私にはそれが酷く芝居がかっているように感じて、里母の胸に飛び込むなんてできなかった。
里母の理想の子供と私自身との乖離を感じていた。
母が亡くなった時に警察官に答えて泣いたように、
同じように里母に答えればよかったことなのに、できなかった。


そんなこと、子供の君が答えなくていいんだよ。
君は君で、里母さんの理想に合わせることない。
大体、高校生の男子が、自分と同じぐらいの背丈の女の子に、たとえ、おふざけだとしても、
スカートめくってお尻ペンペンは時代が時代なら虐待だ。暴力だよ!
君は悪くない。泣かないで。君は悪くないんだよ・・・


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