第2話

文字数 797文字

 それから7年後

「カロン……ギリシャ神話の冥府の川・アケローンの渡し守のカロンの名がついた不吉な衛生ね……」
「そうね」
「それに敵の生態は水棲生物のような感じで、既にもう何千万人と水分のように融合してしまった……」
「そうね……。融合したものは……きっと……死ぬことと同じよね。それに、確かに人類は確かに海の生物を連想させるようなぶよぶよとしているものもあるわね」

 双眼鏡で見る世界は、今は荒廃としていた。何故なら戦争の後に武器を持った男性は全て融合という名の元に消え。生き残ったものたちは、女性のみだった。 

「ねえ、あなたの武器……少し古くなっているわ」
「オーバーホールが必要かしら?」
「後でエデルに言っておくわね」
「そう……ありがとう……」

 瓦解した超高層ビルの屋上でリーエとクリスは真っ赤な夜空を見つめていた。

「地球から50憶キロもわざわざ来たんだもの。最高のおもてなしをしないと……こちらの高火力の総攻撃で……」

 真っ赤な星空が急に青白く輝きだした。天空から、途方もない数のゼラチン状の生命体が降り注いでくる。

 冥王星の衛生「カロン」から遥々、地球へと襲来した生物だ。人はそれを化け物と呼び。こうも呼んだ「SFTS (Spawn from the sea 海から産み落とすの略)」と……。

 SFTSは、空気摩擦で四方へと分解し、瞬間的にこの地球に適応した。あるものは人型。あるものは動物型。あるものは水棲生物型となった。

 SFTSの中でも、空気摩擦の影響をまったく受けない生命体がいた。

「来る!!」

 リーエが叫んだ。

「全軍!! 一斉砲射!! 撃てーーー!!」

 クリスが無線で号令を言い放つと同時に、周囲の超高層ビルの谷間から戦車による総砲撃が始まった。

 リーエは人知れず悲しく笑う。
 戦友の骸の上を走る戦車の群れは、この地球で最後の人々が乗っていた。

 もはや、全人類はその数は少なかった。
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