第3話 mission1 SEA HOIE(海の穴)

文字数 1,117文字

 満点の星の夜空の日だった。
 
 だが、天空が突然仄かに青白くなりつつある。
 空を見上げていた人々は知っていた。こんな空には、遥か彼方の宇宙からぶよぶよとした青白い生命体。SFTSが星のように飛来してくるのだと……。

 それは人を喰い。
 融合する。
 
 誰かが言った。
 この星を吸収したいのだろうか?
 
 また、誰かが言った。
 SFTSはカロンでは生命が維持できず襲来してくるんだ。何故なら人間そっくりの姿になって、この星ごと乗っ取るつもりなんだよ。

 そして、誰かはこう言った。

 SFTSはただ人間になりたいんだ……。



「ハッ! 遅いぞ!」

 二刀流の使い手のリーエは鼻で笑って、動物型SFTSを瞬時に四つに分断した。
 続いて、間合いを取って少し遠くの生命体にプラズマカートリッジのショットガンを撃ち放つ。

 周囲の空気が超強力な電流でビリビリとしてくる。
 SFTSに霧散し放たれたプラズマ弾はその身体に無数に穴を開けていった。

「でやっ! ハッ! トウッ!」

 リーエは次々と二刀を振り下ろし緑色の液体。それはSFTSの血液だ。をまき散らしていく。
 
 ここはノース・クリスタルという特別危険エリア。アベンジャーズ・ザ・ウィメンズの本部からは、かなり北へ行ったところにある。

 大量の緑色の血液が舞っては、瞬時に凍る。次第に極寒の北風と共に粉雪でできて白い空間が周囲を覆っていく。ノース・クリスタルは世界中で初のSFTSが発見された超極寒の地でもあった。

「リーエー! 後ろよー! 来たわよー!」
 クリスは自動車で素早いリーエを本部から追ってきたのだ。
「そんなにスピードを出さないで下さい」
 凄まじい北風が吹き荒れる中で、どこからか男の声がした。
「あら? そう? でも、何度聞いても良い声ねー。開発者のエデルは車の声をわざわざイケメンタイプにしたのね。前衛へのサービス精神って受け取るわね」
 クリスは乗っていた新車のハンドルを撫でた。

 クリスの乗る車はAI。人工知能を搭載した自動車だった。
 AIの名前はソニアル。
 参謀将校であるエデルがアベンジャーズ・ザ・ウィメンズの研究所で男性タイプの自由思考型自動車を造ったのだ。

「ほんと懐かしい声色ね……」
 クリスはリーエのバックアップを好きでしている。そのため戦場を走り回るリーエをいつも車で追いかけているのだ。

「はっ! とっ! どうした! ノロマめーーー! 遅すぎるぞーーー! 寝ているのかーーーー!!」

 戦闘中は数々の勲章がある軍服姿のリーエは、高圧的で高慢な態度に豹変する。そして、常人離れした集中力で、ソニアルの存在のこともクリスのことも知ることもなく。非常に凶暴な動物型SFTSを次々と両断していった。
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