第4話

文字数 1,197文字

―――――

「今日でちょうど。か……」
 リーエは神妙な顔をして少し俯いた。

「そうかしら……? もうそんなに経っているの? それなら今日で……確かここへ配属されてから2年目になるわねえ。あなたもだいぶ組織には慣れたようね。リーエ……最初はあなたはまるで狂犬だったわ。誰も手が付けられないほどの……。あ! そっちのことよね……ごめんなさい。そんなに焦らないの。理想的な男性はまだこの星に必ず生き残っているから……」
 クリスは苦笑いする。

 ここアベンジャーズ・ザ・ウィメンズという本部内で、リーエとクリスは同期だった。アクリル板の床を二人は歩いていた。これから、ここの司令部へと向かう途中だ。

 なんでも、南西部の砂漠地帯に新種のSFTSが見つかったので、帰って早々に呼び出されたのだ。

 リーエは元々、恋人がいなかった。最愛の男性を探しているうちにスカウトされ。リーエとクリスはお互い高い戦闘能力に恵まれ相性も良いので、二人は同じ任務に就くことが多かった。

 通路を行き交う人々は、赤と黒のシックな軍服姿に赤のマントを羽織る女性ばかりだ。
 男は一人もいない。

「そういえば、南西部の砂漠地帯……危険レベルの高いSFTSが度々出るって話よ。あそこでは負傷者が絶えないようね。……こちらの数が減るのは気をつけた方がいいかも知れないわね」
「あら、そうなの」
 リーエはそれを聞いてニッと好戦的に笑ってやった。

「確か、エデルはまた待機のようだけど、もう一人来るそうよ」
「う! 私。共同作戦は、苦手なのよ……」
 リーエはクリスの発言が冗談だと思いたかった。
「仕方ないでしょう。それに、リーエは突っ走るのが得意でも、力が暴走する薬を使い過ぎよ……アドレナリン超加薬。あまり使わない方がいいわよ」

 エデルはアカデミーを主席で卒業した後、その秀才ぶりをアベンジャーズ・ザ・ウィメンズに買われ、あらゆる分野の情報収集と機械の専門家の参謀将校となった。いつも研究室内にいるので、みんなからはもう研究室の所長になっているのではと密かに噂されている。

「ねえ、リーエ……あなたはどう見ても切り込み隊長よね。昔、デススラッシャーと呼ばれていたんでしょ」
「ああ……」

 リーエは強力な放射型電流で斬るソードエネルギーの二刀流と、プラズマカートリッジのショットガンを扱う。超一流のスラッシャーともデストロイヤーとも呼ばれ、合わせてデススラッシャーの異名を持つ頃があった。クリスは操縦や銃器のプロフェッショナルでリーエのサポート役をいつも買ってでているが、その戦闘能力は非常に高い。

 アベンジャーズ・ザ・ウィメンズの司令部は、明滅する機材に囲まれていた。不思議と機械音はしない。女性だけが所狭しと忙しなく端末を操作している。ここがアベンジャー・ザ・ウィメンズの心臓部だ。その中央の大椅子に華奢な女性がちょこんと座っていた。

 フラングレー司令官だ。
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