* 受 容

文字数 521文字

 誰もが同じく年をとる。そして、誰もがいつかは高齢者となる。だが、お年寄りを見かけて、自分の姿を重ね合わせることはまずない。もうその日がそこまで迫っていたとしても。
 
 子どもの頃、周りにいるおばあさんさんたちは最初からおばあさんだと思っていた。それぞれに若い頃があったなんて考えもしなかった。
 大きくなってそんなことはないとわかっても、やはりおばあさんたちの若い頃は想像できなかった。
 
 年をとり身体がきかなくなる、容貌が衰える、誰もが受け入れてきたそんな変化。当然のこととわかってはいるが、いざわが身にとなるとそう簡単には受け入れられない。
 成長していく楽しみから、後退していく寂しさへ。
 昨日できなかったことが今日できた! ではなく、昨日までできたことが今日はできなくなった……。
 そんな日々を迎えるのだ。
 
 しかし、いくら嘆いていたって、どっちみちその時はやって来る。
 ならば、順応していくことが上手に生きるコツかもしれない。あるいは何も考えることなく、その時その時をただ楽しく過ごせばいいのかもしれない。
 しわだらけの笑顔で、
「幸せですよ」
そう言えるおばあさんになれたら、人生の勝者だろう。


             2024.2.12

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