* 音

文字数 472文字

 耳を澄ませなくても、自然と聞こえてくる日常の音。
 
 近くの公園で遊ぶ保育園児たちの歓声――
 声を合わせてゲームをしたり、思いっきり走り回ったり。若い保母さんの腕に抱かれているのは幼い子ども。この子たちの親たちは今頃懸命に働いているだろう。そして、笑顔で迎えに来た親に子どもは駆け寄り、親子はそろってわが家へと帰って行く。そんな光景が目に浮かぶようだ。
 
 近くの新築現場からは大工さんの作業の音――
 トントン、手作業の音。キーン、電動工具の音。今の時期暗くなるのが早い。辺りが暗くなっても煌々と電気を灯し、作業は続く。一日の仕事を終えて家に帰れば、温かいお風呂と美味しい晩酌が待っている。そして、いずれ作業が終われば立派な家が出来上がる。誰かの夢のマイホームを作る仕事、さぞやりがいがあるだろう。
 
 郵便屋さんのバイクの音――
 緊急車両のサイレン――
 人々の話し声――
 私たちが暮らす町の音。

「五時になりました。外で遊んでいるお子さんはお家に帰りましょう」
 やがて、暗闇とともに町は静けさに包まれる。

 こうして今日も、一日が終わろうとしている。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み