(二)-7

文字数 369文字

 小屋の前には屋根などはなく、雪が積もっていた。幸いまだ一二月下旬で本格的な降雪は本番を迎える少し前の時期なので、積雪は深くはなく、靴底のラバー部分が埋まる程度であった。
 小屋の前にある湖の桟橋には、白鳥の形をしたボートが幾重にも係留されていた。そちらへは向かわずに、湖に沿って有料エリア内を歩いて行った。
 五分ほど歩いたところに、広めの桟橋が設けられていた。ここが釣り場だ。ボート乗り場と同じく、桟橋は木製で柵は設けられていなかった。滑らないよう気をつけながら桟橋の端に近づき湖面を見てみた。真冬でも全面的に凍りついたりはしない十和田湖とは違い、ここは小さな湖だった。湖面は岸から離れたところでもすでに凍っているようであった。遠くスキー場の光がわずかに届き、湖面を照らしていたが、その光は揺れずに動かなかったのでそれがわかった。

(続く)
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