(二)-16

文字数 224文字

 私は大浴場を出て部屋に戻った。戻ると、テレビで経済ニュース番組を見ながら滝沢は「遅かったじゃないか」と言ってこっちを見た。私が浴衣姿ではなく、防寒具を着ていることにいぶかった。
「どこか行っていたのか?」
「ううん、ほら、大浴場から部屋まで寒いと思ったから、着てきちゃった」
 滝沢は立ち上がり、両手を広げて私の体を抱きしめた。そして私にキスをしてきた。
 私は重ねた唇を離し、「ねえ、いつプロポーズをしてくれるの?」と上目遣いに滝沢の目を見た。

(続く)
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