(二)-6

文字数 423文字

 エントランスを見回したが、新たに到着する客はいないようで、奥の事務所には人の気配はあったものの、フロントには誰もいなかった。他の客も周囲には見当たらなかった。
 私はそのままエントランスの入口から建物の外へ出た。建物の前のゲレンデではナイター営業がまだ続いており、ホテルの前やリフト乗り場、そしてスキーの斜面がライトに照らされていた。その光の中には、チラチラと粉雪が舞い降りていた。
 私は建物を出るとゲレンデとは反対側の雪道を歩いて行った。このホテルはスキー場と直結しているが、建物を挟んだゲレンデの反対側には湖がある。そして少し進んでいった所に小屋があり、そこへ向かった。貸しボートの小屋だった。夏にはボート遊びができるが、冬はもちろん営業していない。ちなみに、運営は地元漁業組合が行っているらしく、サビが浮いた看板には貸しボートの料金と、釣り場の入場料金やえさ代の表記があった。夏には観光客向けに養殖した魚を放流しているようであった。

(続く)
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