第5話
文字数 4,401文字
たぶん何かとんでもないことが起きたのだ。でも少し前までヨウコの家に居たはずだったのに、突然ここに場所が移動したんだ。一体どういうわけだろう?っと思って僕がキョロキョロと辺りを見てるうちに、人の声が聞こえてきた。
廃墟ビルディングの周りには、現役で使われているオフィスビルや公共施設の建築物なんかも建ち並んでいるはずなのに、全部どこも電気が点いてないし、人の気配もまったくしない。おまけに猫や犬の気配も察知もない。
そのあと凄まじい轟音が響き渡り、村山台駅方向のさらにその向こう側、数キロメートルは離れた辺りと思える遠くの方に、オレンジ色の火柱とその後に大きな黒煙が上るのが見えた。いわゆるキノコ雲ってやつだ。
二人は頭を抱えて伏せる姿勢を取って、僕も近くの物陰に隠れた。空気の振動がやってしばらくすると突風と共に砂煙が立ち上った。