きみはきれい

文字数 276文字

浴室に、意外とよく響いた「死にたい」という感情に、君は恥じ入らなくてもいい。
君は長い髪をしていた。それを鋏で切り落としたり、たとえば、パリなんかへ行ったとして、凱旋門の前で同じ言葉を繰り返したりすることに悲しくなってはいけない。
君は醜く利己的で、大体の人は君のことを美しいと思っている。誰も君の醜悪さや独り善がりに目を凝らしてはくれないよ。僕には君が僕以外の人と同じように美しく見える。君はひとり美しいふりを続けなければならないし、それらは当然絶望じみているから、君がはらはら涙を零しているとき、誰かに無理やり元気づけられて、笑顔を作る必要はないんだ。
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