第3話

文字数 658文字

 あれから二年。
お互いに高校一年生になった。
 太一への怒りが募る一方で好きだという気持ちが捨てられなかった。
もしかしたら約束を思い出すかも? とか、そんな事を思って、太一と一緒の高校を選んだ。
でもあの時以来太一とはあまり話せていなかった。
お互いに避けていた。
私は胸が苦しくなるから。
太一は多分、あの時の事を気に病んで。
家でも学校でも必要以上の事は話さなかった。
これじゃ思い出すどころか疎遠になっちゃう。
 ある日の放課後、汗ばみ始める季節の中で帰り支度をしていると四組の戸部さんに呼ばれた。
戸部さんは可愛らしい女の子で、クラスの男子が一年生で三番目くらいに可愛いと言っていたのを覚えている。
「どうしたの?」
「野木さんって確か帰宅部だったよね?」
「うん」
「バスケット部のマネージャーやってくれないかな?」
「バスケ部のマネージャー?」
 いきなりだったから驚いた。
戸部さん曰く、先日マネージャーが一人退部してしまったらしく、マネージャーが戸部さんだけになってしまったらしい。一人では大変なので友達にマネージャーになれる子が誰か居ないか訊いたところ私の名前が出てきたらしい。
「男子? 女子?」
「えっと、男子」
別にやっても良かったけど、男バスには確か太一が居たはずだ。
気まずくなるだけだし断ろうと思ったけど、もしここで断ったら太一とはずっとこのままなんじゃないか? それは嫌だ。
「分かった。やる」
「ほんと!」
「でもマネージャーなんてやったことないから、色々教えてね」
「うん!」
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