第6話

文字数 550文字

 一週間とは意外と早く来るもので、あっという間に合宿当日になった。
 バスの中寝ている人も居る中ふと楓ちゃんを見てみると、ある一点を見つめていた。
視線を追って見ると眠っている太一だった。
まさかと思い、楓ちゃんをもう一度見てみた。楓ちゃんはまさしく恋をしている顔だった。
 隣町と言っても森に囲まれた学校だったので行くまで少し時間がかかった。
 着いたら点呼を取り、相手チームに挨拶をして、今回使う場所の案内をしてもらった。
そんなこんなで七時ぐらいになり合同練習が始まった。
 練習はいつも通りに進んだ。
選手は練習、マネは支える。
でも私の頭の中はバスで見た楓ちゃんの事でいっぱいだった。その日の練習のことはあまり覚えていなかった。

 用意された部屋に戻ると楓ちゃんを呼び出した。
「どうしたの?」
「……楓ちゃん」
「ん?」
「太一のこと……好きなの?」
 楓ちゃんは顔を真っ赤にした。
「そ、そんなに分かりやすかったかな?」
「バスの中で太一を熱心に見てたから」
「たはー!」
 楓ちゃんは真っ赤な顔を隠した。
「……もしかして杏ちゃんも?」
「私はとうの昔に振られたから」
「そうなんだ……なんかごめん」
「別にいいよ」
 その後、微妙な空気になり食事の時間になるまで二人共無言だった。
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