その5

文字数 695文字

私は走り出した。

まだプレイ時間は30分もあるけど目標の為にと熱くなり
足は自然と早足で前に進む。

思い思いの方向へ走り続けて,動物像のシェルターが並ぶ場所や夕日色のライトアップのピラミッド型のシェルター群を超えて

坂の上に広がる別世界観のある
フィールドまで辿り着いた。

赤や紫にライトアップされた葉の無い木々が立ち並んでいて
森のよう。

さっきから人気が無くプレイヤーがいる方にと思って
走って来たけれど

この場所には誰かいるのだろうか。

足を進めてみたけれど誰もいない。シンとした静寂が漂う。

さらに走り進めたけど
結局誰もいない。

それに私はあることに気が付き愕然とした。

どちらの方向から此処まで来たのかが分からない。

余りにも似た景色の連続と,道という道の無い足場のせいで


まるでどちらから来たか分からない。

少し引き返し場所を調べ逆方向も同じく調べたけれど
さっぱりだった。



“大丈夫。時間になれば元のベースに帰れるのです”


その言葉を聞いてはいたけど,

だけど,急に不安になる。


このままゲームの世界に閉じ込められて二度と帰れなくなって
しまうのではないだろうか。


と,独りの孤独感からとりとめなく不安な気分に襲われた。

そのように立ち尽くし打ちひしがれていた時に,

突然体に撃ち込まれた強い光の光線に思わずグラついた。

「ターゲット発見!!ここはもらった!!」

と言いながら猫背の痩せこけた体格のロングの黒髪と
ピアスがヘルメット下にのぞく案外背の高い怪しい若い男から、何度か攻撃を受けた。


“危ない,負けちゃう”と危機迫りながらも思い,


その場から逃げようと試してみたけど
木のシールドの間をすり抜けるのが難しく
思うようにいかなかった。




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登場人物紹介

瑠花(るか)・・・主人公。中学2年生。

瑠亜(るあ)・・・主人公の妹。小学6年生。

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