第６話：彼女の親と面会、家の購入、ラッシュ

　その後、珈琲と紅茶、日本茶、コーラの何が宜しいと聞いたので珈琲をお願いしますと答えた。するとお盆に乗せて珈琲を持ってきてくれた。ミルクと砂糖はと聞かれ、いいえストレートで結構ですと答えた。緊張をほぐそうと珈琲を飲むと熱いと言った。それを聞いて岩隈家の３人が大笑いした。その時、お父さんが、そんなに緊張しなくても良いよと言ってくれた。

　その後、彼女のお母さんが、ご出身はと聞くので茨城県那珂湊ですと答えた。何で上京したの聞くので、貧しく大農家の手伝いと漁港で漁師さんの手伝いでは生活が厳しいので親戚を頼って上京したと答えた。その後、金沢区の柴港の魚屋で両親が働き出した。その後、父が日本株投資で少しずつ資産を作りアパートに移り住んだと答えた。それを聞いて、お母さんが苦労なさったのねと言った。

　今でもソニー株持ってるのかとお父さんが突然聞くのでえー、そうみたいですと答えると、良い所に目を付けたねと笑顔になった。ソニーなら将来有望だよと真面目な顔で言った。そんな話をしてると昼近くになり、お昼をとるけど、お寿司好きですかと聞かれ、えー大好きですと答えた。じゃー、なじみのお寿司屋さんから寿司を取りますと言ってくれた。

　そして、部屋を出て行った。すると、お父さんが君の将来の夢はと聞かれ銀行で真面目に働き、それなりの給料をもらって結婚して子供を２人くらい欲しいと告げた。君は株をやるのかと聞かれ、やってみたいと答えた。でも資金がないから父に資金を借りて投資を始めることになるますがと恥ずかしそうに言った。でも、絶対に借りた金はきちっと貸しますけれどねと言った。

　それを聞いて彼女のお父さんが大きな声で笑った。君は正直だねと言った。金ができたらどうすと聞かれ、奥さんと子供を連れて世界中を旅行したいと答えた。彼女のお父さんがその様子を笑顔で見ていた。少しして、にぎり寿司を買ってきたとお母さんが言い岩隈利美と２人でお盆にお茶と、にぎり寿司を持って来た。こうして、お母さんが、さー召し上がれと言ってくれ全員で、にぎり寿司を食べ始めた。

　その後、貝塚俊充が、美味しい寿司ですねと言うと彼女のお父さんが、昔から気に入って、寿司なら、この店に注文しているのだよと誇らしげに語った。その後、１４時近くなり貝塚俊充がお世話になりましたと言い席を立った。その時、お父さんが時間のある時にまた来てくれ給えと言ってくれた。そして、岩隈医院を後にして貝塚俊充が帰路についた。

　しかし、この話は結婚が上手くいくまで自分の両親には内緒にしようと決め、実家に帰っても本当の事は語らなかった。そして、１９７３年１月１６日の朝、証券会社から貝塚重義に電話が入りソニー株の株価が１６００円と高いと言われた。そこで全株成り行き売り注文を出すと売れた。その結果、残金が４５１５万円となった。株で儲けた話を家族に打ち明けると、みんなが驚いた。

　その時、貝塚重義が近くに家を買おうと思うと提案した。すると家族全員が賛成した。その後、今住んでるところから徒歩２０分の西柴に大きな中古の大きな家が売りに出ていた。敷地、約５０坪の住宅で３千５百万円で売り出していた。４ＬＤＫの広さで庭も広く貝塚繁子が花壇が作れると喜んだ。そして不動産屋に申し込み現金支払いで購入した。

　それと同時にカローラセダンも購入し現金で支払い残金が約１千万円となり５百万円を入金し１５００万円にした。２月中旬に引越を済ませ新しい電化製品も購入した。２月１４日、円が変動相場制に移行した。３月２０日、熊本地裁、水俣病第一次訴訟で患者側勝訴の判決が下された。４月２４日、この日も順法闘争のため国鉄線のダイヤは混乱していた。

　しかし、赤羽駅の東北・高崎線下りホームでは一向に到着しない列車に利用客の不満が高まっていた。２０時頃、青森行急行「津軽１号」を宇都宮駅まで普通列車扱いにすると案内放送が流れた。定刻であれば「津軽１号」は上野駅１９時３５分発であるが順法闘争と荷物積込みの遅れから２０時１５分に上野駅を発車。しかも上野駅を発車した時点で超満員となっていた。

「津軽１号の到着前、赤羽駅列車ホームで上り中距離電車が停車中だった」
「ホーム上の乗客１５００人が下り電車が来ないと不満を募らせ始めた」
「そして、停車している電車を折り返し運転しろと要求した」
「次に運転士を引き摺り下ろし、中距離電車を破壊し始めた」
「そんな事態が進行し２０時半頃、『津軽１号』は数百人が待つ赤羽駅に到着した」

「既に超満員のため駅の乗客は乗車できなかった」
「その時、乗客は機関車を取り囲んだ。そこで機関士は乗客の勢いに押され逃亡した」
「その後、乗客は動かない列車に対して窓ガラスを割り始めた」
「このため「津軽１号」も赤羽駅を発車できなくなった」
「国鉄側は京浜東北線へ乗客を誘導する放送を行った」