(四)

文字数 265文字

 駐在所に到着して三人で入ると、そこには高蔵寺巡査長がデスクに一冊のノートを広げていた。
 巡査長が我々に気づくとスチール事務椅子から立ち上がり、朝の挨拶を三人に投げかけた。
 三人が挨拶を返すと、巡査長は「実はこれを見て欲しいんです」と言ってデスクのノートを手に取り、三人に差し出した。
「これは?」
 竹並警部補がそう言ってノートを受け取る。
「この駐在所の代々の赴任者が書き残してきた引継書です。これを見返していたら思い出したんですが、昨日亡くなった原野恵那さんですが、六月九日にここに見えまして、捜索願を出されたんですよね」

(続く)
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