叙述曲「ワークワーク」

文字数 1,106文字

※不束三探の作品は、ミステリー上の主的な要素をすべて類別している。使用のむずかしい叙述トリックにかんしては、この叙述曲で使用し、別途に類別している。叙述曲の真相は、下線のあとに、提示している。歌詞は、本編にちなんでいる。

一番

一月 ボーナス すべて使い切り
日々仕事に きりきり舞い
わたしの仕事は 流通業
世界を相手に 赤字の日々だ
加工食品売れと社長は言うが アメリカには敵わない
仕事なんてもう嫌だ ババイェ ババイェ
アー アー アー アー ババイェ

二番

フェブラリー きょうも いつものようにボーナスだ
食料2生産1で日々成長 先月とはわけちがう
資産ふえ 遺産ふえ
シリアルメーカーにも打ち勝った
自由の女神 なんのその……
アメリカは 今月にも撤退だ
わたしは そう生き字引 逆転勝利の請負人

三番

三月 すでにボーナス 待ちどおしい
日々仕事に きりきり舞い
会社の存続 不思議なくらい
世界を相手に 赤字の日々だ
鉱物資源売れと社長は言うが 中国中東 張り合えない
営業なんてもう嫌だ ババイェ ババイェ
アー アー アー アー ババイェ

四番

エイプリル きょうも いつものようにボーナスだ
おかげで 輪にかけ 即移動
伐採黒字 儲かった
アルミニウム社に手を焼くが 中国中東 鉱物なし
各国代表 白旗メール
絶賛 賞賛 ナンバーワン それがわたしだ 貿易上手

五番

五月 毎日 ボーナスもらいたい
日々仕事に きりきり舞い
外回りの従業員は少なくて
世界を相手に 赤字の日々だ
銅鉄ダイヤ売れと社長は言うが、イギリス独占きまってる
貿易なんてもう嫌だ ババイェ ババイェ
アー アー アー アー ババイェ

六番

ジューン きょうも いつものようにボーナスだ
決定首位の大勝利
企業もすべて制覇して
イギリス ジュエリー社も 地に落ちた
生産力で勝利する
経済による勝利と躍り出た

七番

七月 やっともらった夏のボーナス
今年初のボーナスだ
同僚と 飲みに行く 海外流通 失敗つづき
だがしかし
国内流通 絶好調
前年度
完敗 会社は もう挽回
きょうは乾杯 万々歳

________________________________________

八番

話は休日 過ごし方 わたしはすかさず自慢した
やっと先月 勝利した
ターン制ストラテジー 勝ち抜き戦の世界一
すごいじゃないか 合いの手 はいる
毎日プレイ ログインボーナスもつぎこんだ
仕事に負けても ゲームで勝った
だから毎日がんばれた だからゲームは好きなんだ
あしたの日々もがんばれる ゲームにいつも救われる
ゲームと仕事のターン制 わたしはこれで生きられた

ババイェ ババイェ
アー アー アー アー ババイェ
きょうもあしたも 海外ゲーム
ババイェ
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登場人物紹介


未堂棟青人……関東取締出役の役人であり、このシリーズの解き手である。八州廻りとも特別同心とも呼ばれている。徳川幕府から警察的な権限を与えられており、殺人事件の捜査、下手人の逮捕を関東全域で行っている。未堂棟家は武士階級のなかでも、とくに地位が高く、ほんらいは関東取締出役のような仕事をする必要はないのだが、本人のたっての希望により、この仕事に就いている。未堂棟家の計らいもあり、武家身分に対しても、厳しい捜査を可能としている。未堂棟は幼いころに、頭を強く打っており、体調は万全ではない。作中では左目の開閉が進むにつれて、全盛期の姿をとりもどしていく。覚醒前に伏線を集め、覚醒後に回収する。珍しい探偵構成を有した解き手である。




別府卯吉……未堂棟と同じく、関東取締出役に就いている。解き手の未堂棟に対して、別府は助手役である。別府の父親は未堂棟家に仕えており、ふたりは対等な友人として育った。未堂棟が頭を打ったとき、別府はすぐにそばにおり、大怪我の責任を感じている。そのせいか、覚醒前の未堂棟に対して、過保護となっている。八州廻りの仕事は、未堂棟のリハビリも兼ねている。そのいっぽうで、危険な目に合わせたくないと思っている。未堂棟に負担がかからないように、積極的に解決へと取り組む。意識的に、強い口調を選んでいるが、ときに、ほんらいの優しさがあらわれる。




瑞木新七……蛇崩町を中心に水屋の商売を行っている。代々の水屋である。御家人や旗本とも商売をしている。葉月に水だけではなく、氷をも売ることで、高い収入をえている。大村家にも飲み水を売っていた。作間藤三郎の甥にあたる。蛇崩町に強い愛着をもっている。



炊馬経子……作間藤三郎の遠縁だが、藤三郎のあとに、水番人の仕事に就きたいがために、彼と親しくしていた。しかし、大村昌村に藤三郎を殺害され、彼女の計画はご破算となる。経子の生活は、一層、困窮していた。現在は大村家の女中となっている。




作間政信……作間藤三郎の義理の弟にあたる。蛇崩町の周囲にある田園は、政信の手によるものである。藤三郎を殺害されたあと、大村家に殴りこみ、斬りつけられたことがある。身体が不自由となっていた。義兄を喪った精神的衝撃はおおきく、さいきんは、賭博に溺れている。




上野左衛門……作間藤三郎の従兄弟であり、蛇崩町にある万屋の主人である。日本産の物品だけではなく、どこからか仕入れた大陸産の物品も置いてある。大村昌村が夜中、上野とたびたび、密会しているところを目撃されている。大村家のほうは上野と親しくしていることを隠したがっている。



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