第7話 ブレイクタイム
文字数 1,472文字
するとまた突然、例のブザー音が鳴ら響いた。
うそだろ!
だれも笑ってないはずだ!
俺は中年の男と隣の男を交互に見たが二人とも首を横に振って笑ってない事を暗にアピールしている。
俺も笑ってない。
『はい、みなさまお疲れ様です……少しの間ブレイクタイムと致します』
なんだブレイクタイムって?
『あまりにも緊張しすぎると人間おかしくなってしまいますからね……私どもも発狂されては興醒めしてしまいますのでこのように合間にブレイクタイムを設けさせて頂きます。ふたたびブザー音がなるまでは笑っても構いませんヨ』
なるほど、ギリギリまで追い詰めたいがほんとうに発狂されては面白くないというわけか……どこまでもふざけた奴だ。
「ふざけるな!笑えと言われて笑えるわけないだろ!」
俺は虚しい行為とわかっていながらもそう叫ばずには居られなかった。
しばらくすると女子高生の部屋のドアが開いてKKK団が着ていそうなトンガリ帽子型の覆面を被った服装の人間が何人か入ってきて女子高生を引きづっていった。
やはり死んでいる様にしか見えない。
そうして代わりにという様に大きなモニター画面を部屋に入れてまた去っていった。
モニターが映るとピエロの様な男が出てきて会釈した。
『どうもはじめましてピエロのピエールです』
機械音声と同じ声が聴こえてきた。こいつだったのか?
『それでは笑って頂く為に我々の優秀なクルーが作ったダイジェストをご覧あれ』
ピエールがそういうと画面が切り替わってドッキリの番組などで使われるマンボの曲が流れた。
チャッチャチャッチャッチャ
チャッチャチャッチャチャ
チャッチャッチャッチャッチャ
チャチャチャッチャッチャ
チャチャチャ!チャチャチャ!
ウッ!
陽気な音楽に合わせて中年の男性の踊りが映し出された。
なるほど、これが編集の力ってやつか……確かに面白くなっている。
しかし、先程の凄惨な画像が頭から離れずに笑う事ができない。
隣の男もやはり、ニコリともしない。
画面いっぱいにおじさんの裸踊りがクローズアップをしたり戻ったりを繰り返していた。
俺は笑えない理由が他にもある事に気が付いた。
確かに編集の力によって中年の奇妙な踊りは最初より面白くなっているがやはり笑えない。
それはたぶん笑ってはいけないと言われると逆に変な事で笑いそうになるが、笑ってもいいと言われると少々の事では笑えなくなる。
これが緊張と緩和ってやつなのかもしれない。
俺は踊る中年の男性の脂肪が揺れるのを見ながらそんな事を考えていた。
すると画面が切り替わり今度は女子高生が感電するシーンになった。
感電してから倒れるまでが何度も繰り返された。
俺は顔から血の気が引くのを感じた。
さすがにこれは酷い。
音楽は軽快に愉快に鳴り響いている。
と、隣の男が小刻みに震えだした。
怒っているのだろうか?
もしかして、この女の子は知り合いだったのだろうか?
そんな事を考えて隣の男を心配で見ていると。
髪がさっきよりボサボサになってるのに気がついた。
感電して水気が飛んだせいなのか纏 まっていた髪は強いウェーブがかかった様になった。
くせっ毛だ、俺と同じなんだ……へんな親近感が湧いた。
「おい、大丈夫か?」
俺は隣の男に最初に掛けられた言葉を返した。
「……いや、無理だ」
「ん?なにが無理なんだ?」
「……ごめん、無理なんだ。……クッ」
「どうした?なんでも話してみろよ?」
俺はなんとか彼がいつもの冷静さを取り戻す様に言葉を掛けた。
「クッ…クックックッ……」
「え?」
「クックックッ…ダメだ…耐えられない……クハッ!クハハハハハハ」
俺は男がとうとう狂ってしまったのかと思った。
うそだろ!
だれも笑ってないはずだ!
俺は中年の男と隣の男を交互に見たが二人とも首を横に振って笑ってない事を暗にアピールしている。
俺も笑ってない。
『はい、みなさまお疲れ様です……少しの間ブレイクタイムと致します』
なんだブレイクタイムって?
『あまりにも緊張しすぎると人間おかしくなってしまいますからね……私どもも発狂されては興醒めしてしまいますのでこのように合間にブレイクタイムを設けさせて頂きます。ふたたびブザー音がなるまでは笑っても構いませんヨ』
なるほど、ギリギリまで追い詰めたいがほんとうに発狂されては面白くないというわけか……どこまでもふざけた奴だ。
「ふざけるな!笑えと言われて笑えるわけないだろ!」
俺は虚しい行為とわかっていながらもそう叫ばずには居られなかった。
しばらくすると女子高生の部屋のドアが開いてKKK団が着ていそうなトンガリ帽子型の覆面を被った服装の人間が何人か入ってきて女子高生を引きづっていった。
やはり死んでいる様にしか見えない。
そうして代わりにという様に大きなモニター画面を部屋に入れてまた去っていった。
モニターが映るとピエロの様な男が出てきて会釈した。
『どうもはじめましてピエロのピエールです』
機械音声と同じ声が聴こえてきた。こいつだったのか?
『それでは笑って頂く為に我々の優秀なクルーが作ったダイジェストをご覧あれ』
ピエールがそういうと画面が切り替わってドッキリの番組などで使われるマンボの曲が流れた。
チャッチャチャッチャッチャ
チャッチャチャッチャチャ
チャッチャッチャッチャッチャ
チャチャチャッチャッチャ
チャチャチャ!チャチャチャ!
ウッ!
陽気な音楽に合わせて中年の男性の踊りが映し出された。
なるほど、これが編集の力ってやつか……確かに面白くなっている。
しかし、先程の凄惨な画像が頭から離れずに笑う事ができない。
隣の男もやはり、ニコリともしない。
画面いっぱいにおじさんの裸踊りがクローズアップをしたり戻ったりを繰り返していた。
俺は笑えない理由が他にもある事に気が付いた。
確かに編集の力によって中年の奇妙な踊りは最初より面白くなっているがやはり笑えない。
それはたぶん笑ってはいけないと言われると逆に変な事で笑いそうになるが、笑ってもいいと言われると少々の事では笑えなくなる。
これが緊張と緩和ってやつなのかもしれない。
俺は踊る中年の男性の脂肪が揺れるのを見ながらそんな事を考えていた。
すると画面が切り替わり今度は女子高生が感電するシーンになった。
感電してから倒れるまでが何度も繰り返された。
俺は顔から血の気が引くのを感じた。
さすがにこれは酷い。
音楽は軽快に愉快に鳴り響いている。
と、隣の男が小刻みに震えだした。
怒っているのだろうか?
もしかして、この女の子は知り合いだったのだろうか?
そんな事を考えて隣の男を心配で見ていると。
髪がさっきよりボサボサになってるのに気がついた。
感電して水気が飛んだせいなのか
くせっ毛だ、俺と同じなんだ……へんな親近感が湧いた。
「おい、大丈夫か?」
俺は隣の男に最初に掛けられた言葉を返した。
「……いや、無理だ」
「ん?なにが無理なんだ?」
「……ごめん、無理なんだ。……クッ」
「どうした?なんでも話してみろよ?」
俺はなんとか彼がいつもの冷静さを取り戻す様に言葉を掛けた。
「クッ…クックックッ……」
「え?」
「クックックッ…ダメだ…耐えられない……クハッ!クハハハハハハ」
俺は男がとうとう狂ってしまったのかと思った。