第4話 ワラッテハイケナイ
文字数 1,529文字
「ちょい待ちいやにいちゃん」
おじさんが不服そうに彼を睨んでいる。
「なんや、勝手に仕切っとるけど、怪しいのはお互い様やで?」
「それはその通りです」
彼はあっさり認めるとにこやかに答えた。
「ちっ……なんや調子狂うわ。とにかく、なんでワイがこないなところに閉じ込められなくちゃならんのか誰か説明してくれや!」
おじさんは誰に言うともなく叫んだ。
ブーーーーーーーーーーーー
その声に応える様なタイミングで鳴り響く映画の開演前の様なブザー音。
おじさんは思わずビクリと肩を震わせた。
『みなさま、たいへん長らくお待たせ致しました。それではそろそろゲームをはじめさせていただきます』
ゲーム?
俺はなんとなくこういうシチュエーションの恐怖映画を思い出したが、同時にそんな事はありえないという良識が違う結論を導き出した。
「ゲームって……おたくらテレビかなにかか?」
俺は思った事を口にした。
最近ではそういうドッキリ番組が素人に対しても行われるらしい。
もちろん撮られた本人が放送を拒否したらお蔵入りなのだが。
「なに?……テレビなの?」
「なんや、脅かしよってに……どこのテレビ局や!」
女子高生と関西の方らしきおじさんは俺の発言に同調して安堵と不平を吐き出した。
しかし、俺は自分の発言に全く納得してはいなかった。
テレビ?ほんとうにテレビか?だとしたらやりすぎじゃないか?
俺は昨日確かに自分の部屋で寝たはずだ。確かに鍵も掛けた。しかし起きたらいきなりこんな部屋に閉じ込められて……電流で目覚めさせられて……ゲームだと?
いくらコンプライアンスを無視するテレビのディレクターが居たとしてもここまではしないのではないか?
俺の思考を裏付けるかのように機械音声は喋った。
『いえ……残念ながらテレビではありません……とはいえ証拠がなければ信用してもらえませんよね?……よろしい、ではこうしましょう』
機械音声が止むと同時に全員が悶絶した。
「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!」
「ぉぉぉおぉぉ!」
「いやぁああああー!」
「……!」
口々に悲鳴を上げた。後ろの彼も悲鳴こそあげないが苦悶の表情をしている。
多分最初に俺にながされたものより強い電流が流れたようだ。という事は電流の強さは変えられるのか?
「…う……うう」
「はぁ…はぁ……なにしよんやいきなり!」
「はぁ…はぁ……くそ!」
「……」
『おわかりいただけましたか?』
「わかった!わかったからもうやめてくれ!」
俺は誰ともしれない機械音声に向かって叫んだ。
『わかって頂けて何よりです……それでは早速ゲームの説明をさせていただきます。無事にここから出られた人には賞金がでますヨ?』
「賞金!ほんまか!』
関西人らしきおじさんは一瞬目を輝かした様な声で応えた。
『はい、誓って本当です……しかし、それだけではゲームになりませんよね?ミスを犯した方にはペナルティがあります』
「ペナルティ?なんや?またさっきみたいな電流流すっちゅうんやろどうせ!やってやろうやないか!」
『いえそれではペナルティになりません……先程の電流のおよそ十倍の電流を流させていただきます』
「ひっ!」
思わず女子高生が叫んだ。
「は?十倍やと?ふざけるのもたいがいにせえよ!ヘタしたらしんでまうやろ!」
中年の男性は真っ当な反駁をした。
『かもしれませんね』
「かもしれないだと?お前……まさか…」
俺は最近世間を騒がせている猟奇殺人鬼を頭に思い浮かべた。
「すみません。ちょっといいですか?」
俺の質問は彼の冷静な声に遮られた。
「そのゲームの勝ち負けのルールをまだ聞いてませんが?」
『これは失礼しました……ルールは至ってシンプルなものですので聞き逃さないでください』
四人全員が不本意ながら機械音声の声に聞き耳を立てた。
『わらってはいけない』
おじさんが不服そうに彼を睨んでいる。
「なんや、勝手に仕切っとるけど、怪しいのはお互い様やで?」
「それはその通りです」
彼はあっさり認めるとにこやかに答えた。
「ちっ……なんや調子狂うわ。とにかく、なんでワイがこないなところに閉じ込められなくちゃならんのか誰か説明してくれや!」
おじさんは誰に言うともなく叫んだ。
ブーーーーーーーーーーーー
その声に応える様なタイミングで鳴り響く映画の開演前の様なブザー音。
おじさんは思わずビクリと肩を震わせた。
『みなさま、たいへん長らくお待たせ致しました。それではそろそろゲームをはじめさせていただきます』
ゲーム?
俺はなんとなくこういうシチュエーションの恐怖映画を思い出したが、同時にそんな事はありえないという良識が違う結論を導き出した。
「ゲームって……おたくらテレビかなにかか?」
俺は思った事を口にした。
最近ではそういうドッキリ番組が素人に対しても行われるらしい。
もちろん撮られた本人が放送を拒否したらお蔵入りなのだが。
「なに?……テレビなの?」
「なんや、脅かしよってに……どこのテレビ局や!」
女子高生と関西の方らしきおじさんは俺の発言に同調して安堵と不平を吐き出した。
しかし、俺は自分の発言に全く納得してはいなかった。
テレビ?ほんとうにテレビか?だとしたらやりすぎじゃないか?
俺は昨日確かに自分の部屋で寝たはずだ。確かに鍵も掛けた。しかし起きたらいきなりこんな部屋に閉じ込められて……電流で目覚めさせられて……ゲームだと?
いくらコンプライアンスを無視するテレビのディレクターが居たとしてもここまではしないのではないか?
俺の思考を裏付けるかのように機械音声は喋った。
『いえ……残念ながらテレビではありません……とはいえ証拠がなければ信用してもらえませんよね?……よろしい、ではこうしましょう』
機械音声が止むと同時に全員が悶絶した。
「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!」
「ぉぉぉおぉぉ!」
「いやぁああああー!」
「……!」
口々に悲鳴を上げた。後ろの彼も悲鳴こそあげないが苦悶の表情をしている。
多分最初に俺にながされたものより強い電流が流れたようだ。という事は電流の強さは変えられるのか?
「…う……うう」
「はぁ…はぁ……なにしよんやいきなり!」
「はぁ…はぁ……くそ!」
「……」
『おわかりいただけましたか?』
「わかった!わかったからもうやめてくれ!」
俺は誰ともしれない機械音声に向かって叫んだ。
『わかって頂けて何よりです……それでは早速ゲームの説明をさせていただきます。無事にここから出られた人には賞金がでますヨ?』
「賞金!ほんまか!』
関西人らしきおじさんは一瞬目を輝かした様な声で応えた。
『はい、誓って本当です……しかし、それだけではゲームになりませんよね?ミスを犯した方にはペナルティがあります』
「ペナルティ?なんや?またさっきみたいな電流流すっちゅうんやろどうせ!やってやろうやないか!」
『いえそれではペナルティになりません……先程の電流のおよそ十倍の電流を流させていただきます』
「ひっ!」
思わず女子高生が叫んだ。
「は?十倍やと?ふざけるのもたいがいにせえよ!ヘタしたらしんでまうやろ!」
中年の男性は真っ当な反駁をした。
『かもしれませんね』
「かもしれないだと?お前……まさか…」
俺は最近世間を騒がせている猟奇殺人鬼を頭に思い浮かべた。
「すみません。ちょっといいですか?」
俺の質問は彼の冷静な声に遮られた。
「そのゲームの勝ち負けのルールをまだ聞いてませんが?」
『これは失礼しました……ルールは至ってシンプルなものですので聞き逃さないでください』
四人全員が不本意ながら機械音声の声に聞き耳を立てた。
『わらってはいけない』