エピローグ

文字数 595文字

「ほら、早くお花見に行きましょうよー。あずきさん」
「そうよ。あずきー。早くしないと、場所取られちゃうでしょー」
「お弁当も忘れないでよねー。あずき」
「先輩、ほらほら。早く行きましょう」
「分かってる。分かってるって」
2017年4月30日。常に咲く桜が、満開になる日ごろ。
今日は皆でお花見に行く事になった。とは言え、桜はいつも咲いているのであんまり新鮮味はないけど、お花見なので気分の問題だ。
あれからルシファとベリーはなりゆきで、俺の家に住む事になった。
俺が一応死んだお陰で人間の滅亡は回避出来たが、ルシファは俺が寿命で死ぬその日にもう一度俺を殺したいらしい。流石は死神の血が混じりあっていだけあって、ルシファらしいっちゃルシファらしいな。
玄関から外へ出ると、町の至るところでは桜が咲き満たれていた。
いつもと何ら変わらない桜木(さくらぎ)を、俺はただ漠然(ばくぜん)と眺める。
ああ、綺麗だ。本当に綺麗な桜だ。
ルシファは俺の横に立つと、微笑ましく笑っていた。
そしてルシファは呟く。あの言葉を。俺がルシファと交わした、初めての約束を。
「これからも一緒に居ますからね。あずきさん……いつかあなたを殺す、その日まで」
「……はいはい」
「これからもよろしくな。ルシファ」
桜の花が空に舞う。空へ空へと上がっていく。
いつまでも高く――蒼い空へ。

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