第5話 空母赤城
文字数 854文字
一瞬気絶したような気がした。自分は何度も気絶したことがあるからよくわかるのだが、気絶すると映画のように場面が切り替わるのだ。ただし、現実世界では自分以外では時間が過ぎている。どれだけの時間か分からないが気絶分の時間だけ過ぎ去っている。自分だけがその時間を体験していない。その時もそんな感じだった。我々は豪華で高そうなレストランにいた。白い布がかけられたテーブルにつき、フルコースのメインらしいご馳走を前に座っていて手にはナイフとフォークを持っていた。ガマ、横須賀、ママ、マリアも同じテーブルにいた。横須賀が白ワインを持ち上げると、自分を見て、
「乾杯!ありがとう」
と言った。なんでありがとうなんだ。隣のテーブルには参謀飾緒の飾りをつけ、軍服を着た高齢の男が西洋料理を食べていた。静かなレストランにその男がナイフで肉を切るときに皿をこする音がほんの少し聞こえた。同時に床がほんの少し傾いた。あれ?もしかしたら、ここは戦艦大和の食堂ではないのか。戦艦大和はあんまりでかくて重すぎて、床が傾くことが気づかなかったと言うが。なんだかとても気になって、おそるおそる恐そうな顔をした軍服の男に聞いていた。
「ここは戦艦大和ですか?」
軍服の男はそこに誰かいたのかという目でこちらを見ると、言った。
「この船はね、赤城だよ」
あっと思った。自分のおじさんが乗った船だ。確かおじさんが真珠湾攻撃をする時に戦闘指揮官か何かで戦闘機で出撃したとか直接聞いたことがある。空母の赤城。アニメ『艦これ』で有名だ。ミッドウェー海戦で沈められてしまった悲劇の空母。巡洋戦艦として建造された当初、三段式の超かっこいい飛行甲板だったが(見た目だけだけど)、昭和13年には近代化改装されたから、今真珠湾に向かっているとしたら、既に一段の全通式空母になっているだろう。
そうか。もしかしたらおじさんの経験を追体験しているのかもしれない。
そしたら横須賀が軍服の男に聞いていた。
「ここではカレーとか出るんですか?」
「ああ。出ることもあるよ」
「たべたい!」
「乾杯!ありがとう」
と言った。なんでありがとうなんだ。隣のテーブルには参謀飾緒の飾りをつけ、軍服を着た高齢の男が西洋料理を食べていた。静かなレストランにその男がナイフで肉を切るときに皿をこする音がほんの少し聞こえた。同時に床がほんの少し傾いた。あれ?もしかしたら、ここは戦艦大和の食堂ではないのか。戦艦大和はあんまりでかくて重すぎて、床が傾くことが気づかなかったと言うが。なんだかとても気になって、おそるおそる恐そうな顔をした軍服の男に聞いていた。
「ここは戦艦大和ですか?」
軍服の男はそこに誰かいたのかという目でこちらを見ると、言った。
「この船はね、赤城だよ」
あっと思った。自分のおじさんが乗った船だ。確かおじさんが真珠湾攻撃をする時に戦闘指揮官か何かで戦闘機で出撃したとか直接聞いたことがある。空母の赤城。アニメ『艦これ』で有名だ。ミッドウェー海戦で沈められてしまった悲劇の空母。巡洋戦艦として建造された当初、三段式の超かっこいい飛行甲板だったが(見た目だけだけど)、昭和13年には近代化改装されたから、今真珠湾に向かっているとしたら、既に一段の全通式空母になっているだろう。
そうか。もしかしたらおじさんの経験を追体験しているのかもしれない。
そしたら横須賀が軍服の男に聞いていた。
「ここではカレーとか出るんですか?」
「ああ。出ることもあるよ」
「たべたい!」