０８

今 あなたとラインでつながる
23:00も過ぎたからすでに夕食も済ませて
風呂にも入っただろうか？

今のあなたを想像する
キッチンを背にして
木製のダイニングのいすに座り
一人携帯に向かう
濡れた長い髪、肩にタオルをのせて
もう暑いからとTシャツを着てるかもしれない

そんなあなたを妄想しながら
既読が付く度にぼくは嬉しくなり
既読の早さで不安になる

今 どんな心情で
あの文章はつむぎだされたのだろうか
あの文章が作りだされた背景を考え
ぼくなりの答えを探す
一文ではっきりと心情を表すことがなく
だけどたぶんヒントはあって
その糸口を探して
ぼくは一文から果てしなくイメージを膨らます

ぼくには洞察力がなく、理解力もない
人と衝突するのが怖くて人との関わりも最小限
だから会話は難しい

あなたと出会って
事実やこれからのやることだけを伝えても
それはつまらないってことよ と
あなたは教えてくれた

あなたと出会って
共感や今の感情を
素直に文章やスタンプで伝えることは
あなたが声を出して笑ったのか
右側の唇だけ上げて笑ったのか
ぼくの手の中に充分すぎるほど
あなたがみえるってことも教えてくれた

あなたに会いたいと思う分
想像が膨らんで 一瞬 ある空間で
あなたとリンクしたかと錯覚さえ感じる
時間を共有して 頭で繋がる
リアルには隣にいなくて
想像したあなたがぼくの目の前に現れる
でもその現象はあなただけに起きる
そう その現象はあなただけ なんだ