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文字数 383文字

ある昼下がり
きみは冷たいカフェオレ
ぼくはあたたかいカフェオレを頼む
きみは一気に半分のみほす
ぼくは猫舌

共通点はカフェオレ
ただそれだけ
それだけしか覚えていない

正面にいるきみの顔がまともに見れない
そのかわり きみのグラスを見る
氷の入ったグラスに水滴
その水滴を優しく撫でる指先
その仕草を見て
ぼくは少しほっとする

目の前にいるのに
手をのばしたらきみの手に触れられるのに
ぼくの気持ちはぼくの中だけに
あたたかいカフェとともにぐっと飲み込む

緊張とカフェオレのせいで
からだが火照る
心臓の鼓動の音がきみに聞こえてない?
鼓動の動きがシャツから見えてない?
ぼくは汗をかいて額の汗を拭う
きみがグラスを優しく撫でる

このカップが空になったら ここを出る
ぼくたちだけの時間はカップ残り半分
もっときみといたい
もっと共有したい
緊張からとかれて きみの笑った顔を
正面から受けとめたい

きみのグラスは空になる
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