◆25ページ

文字数 606文字

・列車の席で向かい合う蘇峰と蘆花。

◇徳富蘆花
「先生の言うとおり
 司法省に調書が残ってたよ
 ほら、これが写し」

※作画の参考までに実際の調書を載せておきます。
 マンガの中では読者に読ませる必要はないと思います。

「十月中比與頭佐々木唯三郎、旅宿に呼び寄せ候につき、私並びに見廻り組渡辺吉太郎・高橋安次郎・桂隼之助・土肥仲蔵・桜井大三郎、六人罷り越し候処、唯三郎申し聞け候には、土州藩坂本龍馬儀不審の筋有之、先年於伏見、捕縛の節、短筒を放し、捕り手の内、伏見奉行組同心二人打ち倒し逃げ去り候処、当節、三条下ル町、土州邸向かい町屋に旅宿罷り在り候につき、この度は取り逃がさざるよう捕縛致すべく、万一手に余り候えば討ち取り候様、御指図これ有るにつき、一同召し連れ出張吉太郎・安次郎・隼之助下り来り、龍馬そのほか両人計合宿之者、これ有り、手に余り候に付き、龍馬は討ち留め、ほか二人の者切りつけ疵負わせ候え共生死は見留めざる旨申し聞け候につき、左候えば致し方これなきにつき引き取り候様、唯三郎差図につき立ち出で、銘々旅宿へ引き取り、その後の始末は一切存ぜず」 

◇徳富蘆花
「殺人にしちゃ
 随分と刑が軽いな…」

◇徳富蘆花
「今井は実行犯の
 ひとりだけど
 手は下してないからね」


  
◇徳富蘆花(声のみ)
「それと妙なことに
 薩摩の西郷隆盛が
 助命嘆願してるんだ
 ふたりは面識が
 ないはずなのに…」
 
・怪しげな笑みを浮かべる西郷隆盛の肖像。
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登場人物紹介

◆徳富蘇峰


25歳。

のちに100巻に及ぶ
『近世日本国民史』を書きあげ、
司馬遼太郎をはじめとする歴史小説家たちに
多大な影響を与えるジャーナリスト。

紋付きはかまにソフト帽など、和洋折衷な感じ。
手には原稿用紙や本、執筆道具の入った大きなトランク。
髪はボリュームがあり、生真面目な美青年といった感じ。

◆徳富ロカ


20歳。
実際の漢字表記は「徳富蘆花」。

徳富蘇峰の弟で、
のちに小説家として名を馳せる。
代表作はベストセラーとなった『不如帰』。
近年では探偵小説の作家としても
注目されている。

夏目漱石の『坊ちゃん』のようなはかま姿に、学帽。
着物の下にシャツのようなものを着ている。
丸いメガネをかけている。
可愛い弟キャラ。

◆勝海舟


60代。

江戸幕府の家臣として明治維新のため奔走した英雄のひとり。
坂本龍馬や西郷隆盛にも多大な影響を与えた。
邸宅に徳富兄弟を居候させているが、
生涯8人の愛人を作り同居したという恋多き男でもある。

初老で和服を着ている。

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