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文字数 270文字

◇徳富蘇峰
「犯人はわかりません
 でも…
 真相を知った者は
 口をつぐむしかない…
 それがこの事件のカラクリだ」

・蘇峰の後ろで「えっ?」と声をあげる蘆花。



◇徳富蘆花
「どういう事だい
 兄さん?

 真相をあばくのが
 ジャーナリストの
 仕事だろ?」



◇徳富蘇峰
「いや…真実がいつも
 正しいとは限らない…」 



◇勝海舟
「そうさ…
 悲しいことにこの国は
 まだ磐石じゃねえ…
 政府要人の中には
 真相がバレちゃ困るヤツが
 大勢いるのさ…

 英雄を見殺しにしておいて
 何が新政府だ…

 だが、それを黙って
 見てるしかない
 俺だって同罪だ…」

・勝海舟、ちょっと寂しそうに。

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登場人物紹介

◆徳富蘇峰


25歳。

のちに100巻に及ぶ
『近世日本国民史』を書きあげ、
司馬遼太郎をはじめとする歴史小説家たちに
多大な影響を与えるジャーナリスト。

紋付きはかまにソフト帽など、和洋折衷な感じ。
手には原稿用紙や本、執筆道具の入った大きなトランク。
髪はボリュームがあり、生真面目な美青年といった感じ。

◆徳富ロカ


20歳。
実際の漢字表記は「徳富蘆花」。

徳富蘇峰の弟で、
のちに小説家として名を馳せる。
代表作はベストセラーとなった『不如帰』。
近年では探偵小説の作家としても
注目されている。

夏目漱石の『坊ちゃん』のようなはかま姿に、学帽。
着物の下にシャツのようなものを着ている。
丸いメガネをかけている。
可愛い弟キャラ。

◆勝海舟


60代。

江戸幕府の家臣として明治維新のため奔走した英雄のひとり。
坂本龍馬や西郷隆盛にも多大な影響を与えた。
邸宅に徳富兄弟を居候させているが、
生涯8人の愛人を作り同居したという恋多き男でもある。

初老で和服を着ている。

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