幕間講義 9 教頭の課題振り返り (終)

文字数 4,349文字


優珠:ま。本当ならその途中で、このメス女を交代させる気も辞めさせる気もないって分かり
   そうなもんだけどね
佳奈:アホやないんやから優珠ちゃんもそれだけが目的やないって分かってるんやろ?
冬美:そう……ですね。てっきりワタシの為だけかと思ってたんですが……
霧華:もう別人みたいになついてますね
蒼依:今後、愛ちゃんを困らせない、泣かせないって言うんなら私は何も言わないよ
倉本:だったら俺は――
優希:――駄目。愛美さんを怖がらせた上、愛美さんにエロい視線を向けるような奴に、愛美
   さんと仲良くするのは認められない
実祝:違う。愛美が嫌がってるから駄目。以上
咲夜:本当にごめんだけど、あたしも愛美さんと会長が一緒にいるのを見るだけで、なんだか
   よく分からない不安に駆られるから、出来ればもうそっとしておいて欲しいかな
朱寿:あのねそこの人。女性は一度嫌って思ったら、大体はもう嫌なままだから、そっとしと
   いた方が良いんだよ。でないと本当にストーカーになっちゃうんだよ
優珠:大体ね――ってこれじゃまた脱線するわね
直実:ありがとう優珠ちゃん
優珠:……いえ

朱寿:!! それで!! 絶体絶命のピンチと、わたしの過去を話してる間に、難しかった
   二人の間に氷が解け始めるんだよね
優希:そうなんですよ! 雪野さんと中条さんの仲が少しずつ改善して行ってるんでしたね
霧華:全部愛先輩のおかげだけどね
理沙:当たり前だろ! 愛先輩以外に誰のおかげだってんだ
実祝:おかしい。当事者のはずなのにどうもしっくりこない
冬美:ワタシもそうですけど、当事者が言う事ではありませんね
咲夜:でもそっちの議長さんは既に愛美さんと仲良くなり始めてましたよね
結芽:だからなんで敬語?
冬美:……当時は無理矢理友達にならされたと思ってましたけど……
蒼依:それでも今はちゃんと愛ちゃんと友達なんでしょ?
冬美:当たり前じゃないですか。だってワタシは愛美さんにとって……ってこれはもう少し
   後ですよね
優希:ありがとう雪野さん。これからもしっかり愛美さんと仲良くしてくれたら嬉しいよ
冬美:もちろんです!
理沙:あのぉ……あーしは……
優希:中条さんはもう少し愛美さんに協力をお願いできないかな?
蒼依:理っちゃんは愛ちゃんのお願いを聞いてくれてないんだから、私からの説教はまだ残っ
   てるよ
優珠:ちょっとメス女! 何でアンタだけが愛美先輩と仲が良いみたいなゆい方なのよ! 
   わたしだって愛美先輩とは散々やり合ったんだから!
佳奈:やり合ったって……コテンパンにされとっただけやんか
優希:優珠も愛美さんと喋るとすぐに元気出てたよね……そう言う意味でも愛美さん。本当に
   ありがとう
霧華:こうやってみると、副会長の妹さんって可愛いですね
優珠:か?! かわっ?!
冬美:あの。霧ちゃん。その性格の激しい妹さん。ワタシたちと同い年ですからね
佳奈:優珠ちゃん顔真っ赤やな

優珠:ふ! ふん! そんなことゆってもわたしとそのメス女が仲良くしないと、この腹黒の
   課題はとん挫するのよ
愛美:でも最終的には優珠希ちゃん。冬美さんと仲良くしてくれたよね
優珠:……
佳奈:優珠ちゃん。さっきから顔真っ赤やな
実祝:それに、225話でみんなについて来て226話で教頭先生の質問に答えてる時点で、この妹
   も仲良くしてる……あ。議長と

霧華:そして221話時点で、最後のハードルだった、副会長の妹さんと冬ちゃんの融解が始まる
   んですよね
理沙:雪野が愛先輩に誓いを立てた時だな
結芽:誓いって……
愛美:でも実際あの若くて大きいだけの張りぼて後輩女子の言動を教えてくれた辺りから、
   優珠希ちゃんの態度も変わったよね
和葉:皆さん! これが上級生のつか――
愛美:――おいハリボテ! 黙れっつってんのっ!
和葉:?!
愛美:――ね。優珠希ちゃんっ!
佳奈:……
優珠:何が変わる。よ! わたしはこのメス女がお兄ちゃんに色目を使わないかどうか、
   聞いただけじゃない。変な脚色するのは辞めてちょうだい
佳奈:また無茶な挑み方してんなぁ
咲夜:こうやって愛美さんが勝って来たの?
佳奈:勝って来た言うより、これこそじゃれ合い言うか、様式美なんですよ
愛美:脚色? じゃあはっきり指摘してあげるね。あの221話で冬美さんがあの若くて大きい
   だけの醜悪ハリボテ後輩女子――
冬美:愛美さんを敵に回すとこうなるんですよね……
愛美:――の動向を冬美さんが教えて以降、実はほとんど冬美さんに噛みついていないのは
   分かってるんだからね
理沙:……確かにあの時噛みつこうとしてたのも、あの一年後輩だったな
愛美:それに、あの時冬美さんに向かって“あんた……”ってその呼び方すらも変わっていたん
   だよ
霧華:岡本先輩。よく副会長の妹さんをご覧になられてるんですね
優希:今日何回目かも分からないけど、本当にありがとう愛美さん
蒼依:……つまり雪野さんの覚悟、言葉を聞いて空ちゃんが考え直したって事?
愛美:というより、225話を見てもらえれば分かる通り、翌日にはもう噛みついてたから意識が
   変わっただけかな
佳奈:優珠ちゃん。完全に丸裸やな
実祝:さすが恋愛マスター愛美。すごい。副会長の妹を完全に手玉に取ってる
優珠:?! じ、冗談じゃないわよ!! 誰がこんなおん――
愛美:――それによく聞いてもらえれば分かるんだけれど、その噛みつき方も冬美さんが怖が
   らないくらいにはものすごくマイルドになっているし、あの酷い呼び方も鳴りを潜め
   ちゃったの
咲夜:すっげぇ……丸裸どころか全部看破?!
冬美:そう言えば……メス女。略すと女女ないしはメスメスですが、あの酷い呼び方はされ
   なくなりましたね
優珠:――おいメスブ――
愛美:――ゆ・ず・き・ち・ゃ・ん?
優珠:お兄ちゃん! 今のでこの女の本性が分かったでしょ? この女は本当に危険なのよ!
朱寿:愛さんが危険な訳ないんだよ。全ては妹さんが自分で喋った言葉と態度なんだよ
咲夜:これが本当のツンデレ……
優珠:おい! そこの残念女! 誰がツンデレ――
愛美:――ま。今更どう言われようと、教頭先生と話した内容、あの日以来冬美さんに対する
   態度が軟化しているのは作中では嫌でも分かるから、今は何を言っても私は赦してあげる
優珠:これだから腹黒は大っ嫌いなのよ!
佳奈:っとまあ、毎回優珠ちゃんは言い負けてるんですよ
結芽:すごいわね。岡本さん。まだまだ余裕あるわね
冬美:……愛美さんに返せない程の御恩を頂いたにも関わらず、その態度とするのはどうも
   腑に落ちませんね
咲夜:そしてこっちの議長も、愛美さんに嫉妬
優珠:ふ、ふん! そんな女くらいいくらでもあげるわよっ!!
愛美:大丈夫。冬美さんは私にとって一番お気に入りの後輩になるんだから、これからも
   よろしくね!
理沙:ゆ……雪野が一番のお気に入り……
霧華:あ。中条さんの目が
優希:……愛美さん。優珠が寂しそうにしてるから、もう少し優しくしてもらえると
愛美:その代わり優珠希ちゃんは、私にとって“とっても可愛い優珠希ちゃん”でしょ?
佳奈:ホンマに優珠ちゃんは素直やな
理沙:……しかも愛先輩にすごく可愛いって……

教頭:それではこの振り返りも最後になりますが、最後岡本さんに質問させて頂いた“言いたい
   けど言えない”この気持ちですね
穂高:……正直あの教頭先生の質問にはびっくりしました
教頭:それはどう言う意味ですか
穂高:さすがに私たち教師側をも考えた質問・課題を用意されてるとは思わなくて
巻本:私たちは教師ですから、あくまで生徒を中心とした課題だと思ってたんです
直実:朱寿?
朱寿:教頭先生は、常に全方位を見て考えてくれてるんだよ。だから愛さんだけって事は
   無いし、最後の質問に関しても別に先生側だけって事もないんだよ
愛美:そう……ですね。あの質問。私が周りのみんな言えなかった気持ちも教頭先生は汲んで
   下さったのが伝わったので226話で一度言い直したんです

冬美:本当に。愛美さん程思慮深い先輩はそうそういらっしゃらないと思います
霧華:そうだよね。アタシもそれで数えられないくらい助けられました
理沙:あーしもだよ。駄目な時はちゃんと注意してくれる。それで仲良くしてくれる。だから
   あーしも全力で愛先輩に自分をぶつけられる
咲夜:それはあたしもだって。愛美さんといる方が楽しい、心から笑えるって気づけたのは
   ありのままのあたしを受け入れてくれたから、見てくれたからだよ
優珠:腹黒だったらそれくらい当たり前じゃない
佳奈:その当たり前が出来る人が、お兄さんや優珠ちゃんの前に全然現れへんかったんやろ?
結芽:そうね。それで教室の空気もうちの気持ちもしっかり整理できたのも大きかったよ
実祝:だからこそ愛美の機嫌だけは損ねたらダメ。みんなが愛美に支えられてる
朱寿:わたしもね。愛さんにはいっつも助けられてるんだよ
愛美:え?! そうだったんですか? いつも相談に乗って頂いてたのは私の方ですよね
慶久:俺もさっき言った通りねーちゃんにだけは感謝してる部分もある
蒼依:慶久君にしては素直に言えたね。えらいね。
巻本:岡本に助けられたのは何も生徒であるお前らだけじゃないぞ
穂高:私も正直助けられたわよ――もちろん何が。とは言えないけど
教頭:私もです。二人の生徒の心を開いてくれてありがとう
愛美:……みんな

直実:それじゃ最後に今後の展望だな
佳奈:仲ようなったウチらが正式に園芸を再開させます
優珠:でもここでもう一回お手付きをするのよね……誰が。までは言わないけど
理沙:愛先輩が形にしてくれた成果に対してお手付きをするなんて、一体どう言うつもり
   なんだ?
霧華:中条さん。あんまり言い過ぎるとまた後で泣くハメになるよ?
優珠:ふん! そんなのこの調子乗り女が悪いだけじゃない

実祝:これからまだある?
咲夜:あるよ。でも会長絡みじゃないから、胃がキリキリする展開は無いかな
結芽:だったらこの後は安心なのかしら?
巻本:いや。最後の恋愛が残ってるからそれが片付く
穂高:片付くって……でもそれとは別にもう一つある作戦が動き出すのよね
蒼依:……
教頭:もちろんその作戦には僭越ながら私も参加させて頂きます
慶久:俺ももちろん参加だからな!
倉本:――……――
愛美:本当にみんなありがとう!!

女子:という訳で残り二つの山場に向かって話が進みますので
男子:間もなく重くなり始めますが
二年:最後までお付き合い頂ければ
三年:とても嬉しく思います

全員:という訳で、長くなってますが最後までお付き合い頂ければすごく嬉しい
   です!

礼文:……空木君……
朝日:……倉本君……
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