第3話:田川が賢治に投資の勉強を奨める

文字数 1,470文字

 やがて1990年、田川は、バイクに買い三島、沼津、韮山、熱海の高校生の家へ行き近所の生徒も含めて4,5人ずつ勉強を教えた。週4日、月、水、金は、17時から18時。日曜は、9時から10時に教室を開き週に合計20人の家庭教師をし月に20万円を稼いだ。これは、以前、結核療養所で、この地域の人に世話になった恩返しだと思い熱心に勉強を教えるようになった。

 教え子が志望校に合格したと言って、合格時、礼金として1万円のボーナスを田川に渡してくれた。
「その後、地元の人達の人情と自然が好きなので1人で生活するようになり函南に居ついたと話した」
「賢治が、田川さんに結婚してるのと聞くと、そんな話もあった」
「でも結核を経験し他人に感染しないか心配で、他人と生活する気になれず独り身だと言った」
「もし結核にならなかったら東京で良い仕事につき結婚して華やかな生活できたのにと告げた」

「そんな話をすると、僕はそう思っていないよ」
「結核になったのは残念だが、こんな素晴らしい自然と人の温かさを知ったのだからと述べた」
「食べるものも住む所にも不自由していないし金も株を始めて少しずつ増やしたと話した」
「賢治が、株は、おっかねえだろうと言うと、やり方、次第だねと答えた」

「また証券会社との人間関係を構築するまでに、時間がかかると言った」
「田川が気が変わる様な素敵な女性に会えたら結婚したいが、簡単にはいかないと照れた」
「田川さんが、もし株投資に興味あるなら、賢治に株の売買方法を教えてあげると語った」
「また、今迄、投資の勉強で使った本を貸すから勉強したらと言ってくれた」

「田川が、賢治に数学は強いかと聞かれ得意な方だと言い計算は早いと答えた」
「それなら話は早い今度、本を持ってくるから読んでみなさいと言ってくれた」
「失礼だが、いくらあると聞かれ全財産で三百万円と答えると、それで十分だと言った」
そのうちにバイクの点検を終えて代金はと聞かれ全部で千円ですと言った。

 田川さんが金を支払い話を聞いてくれてありがとうと言い、また寄らせていただきますと言い去って行った。数日後、田川さんが店に立ち寄り2冊の株投資の本を賢治に手渡して読んで解らないことあったら、次回、質問してくれと言い帰った。

 賢治は、本を貸してもらい家に戻り本を読むと多くと数式ばかり。しかし面白いと感じで夜遅くまで読んで1週間で3冊、読み終わった。また、5日後、田川さんが寄って、わからない事なかったと聞くのでないと答えた。何冊読んだと聞くので3冊全部読んだというと偉いと言い、また3冊の本を渡してくれた。最後の方は実践編が載ってるから理解できればすぐに投資にできるだけの知識がつくはずだと言った。

 借りた本を歩むと、最初、以前の復習の様なことが書いてあった。2冊目から売上関連の営業利益、経常利益、純利益と資本関連の総資産と純資産、株主資本、ROE「自己資本利益率」、キャッシュフロー「お金の流れ」では、営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、フリーキャッシュフロー。その中でも、特に、フリーキャッシュフローと大事と教えられた。

 つまり純利益率、ROE「自己資本利益率」が高くフリーキャッシュフロー「自由に使えるお金」が大きく有利子負債の小さい企業が理想的。競争の少ない業種の方が有利で新事業に挑戦する企業の将来性が高い様だ。そのため新しい技術、研究開発、既存品でも新しい使い方への応用技術も企業が成長する条件らしい。夏が過ぎ涼しくなった1994年10月1日、昼過ぎ田川さんが賢治の所に立ち寄った。
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