第29話:東京都から新たに400人の入所者の要請

文字数 1,594文字

そうしているうちに、2012年も秋を迎えて、伊豆の山岳地帯でも、素晴らしい紅葉が見られるようになり、朝晩、霜が降りて、12月を迎えた。やがて2013年となった。しかし不景気は続いていた。その不景気を退治するため、当時の安倍政権が、経済政策「アベノミクス」を始動。1つ目は、金融緩和。2つ目は、財政出動。3つ目は、成長戦略の「三本の矢」を好感した市場では年初から円安・株高が進み、景気回復ムードが高まった。

 特に黒田東彦総裁を迎えた日銀は4月4日、消費者物価上昇率を2年で2%に引き上げる目標を掲げ、大量の国債買い入れで資金供給量を倍増させる「異次元の金融緩和」を決定。政権交代前に比べ、円相場は1ドル103円台と20円超も下落し、日経平均株価は一時、約2倍の1万6000円近くまで上昇した。ただ、第3の矢である成長戦略の実行は遅れ気味。デフレ脱却は道半ばで、カギを握る賃金増にも不透明感が残っている。

 その株価上昇を見て。政府は10月1日の閣議で現行5%の消費税率を2014年4月から予定通り8%に引き上げることを決めた。社会保障制度を持続可能なものにするとともに財政健全化を図るためで、税率引き上げは1997年4月以来17年ぶりとなる。消費税増税は民主党政権下で制定された関連法に明記されていたが、実施判断は「景気条項」で条件が付けられていたため、延期を求める声も噴出。

 最終的には、直前に発表された国内総生産や日銀短観などの経済指標を見極めた上で安倍晋三首相が実施を決断した。12月、増税による景気落ち込みの緩和を狙う5.5兆円の経済対策がまとまった。一方、田川さんと三井賢治の投資では、2013年4月11日朝、インターネットで豪ドル円が105円を超えていたので成り行き売りを入れた。178.5万豪ドルを売り日本円に替えると18700万円となり、税引き後、16900万円の利益を得た。

そして5月7日、東京23区の福祉局から新たに400人の恵まれない高齢者を修善寺の老人施設で引き受けて欲しいと連絡が入り4億円の無利子投資をするという条件を付けてきた。400人と言うのは、現在の敷地に新しい介護施設4棟建てる必要があり、これで、「富士の園」の受け入れ可能人増の上限になるという事も東京都福祉課に伝えた。それに対して、了解と言う答えが返ってきたが、現在の東京都の抱える高齢者の数からいって焼石に水だということは明白。

 とかく役人は、目先の問題を解決することに専念する気質がある様だ。400人の介護施設に80人から100人の介護職員が必要であり、三島、沼津、富士、熱海、小田原、伊豆の国市、御殿場市、裾野市の新聞に介護常勤職員と資格持っている人パートさん50人分の宿舎あり交通費支給、週3日で最低累計15時間以上の勤務と広告を載せた。並行してインターネットでも募集をかけた。

 しかし、3か月後の8月中旬までに、有資格者10人と無資格者のパートの介護補助員20人だけしか集まらず困った。そこで施設長の石動健太と平野宗助にも当たってほしいというと宿舎を用意できるなら声をかけてもよいと言ってくれた。2人1部屋で探し10人分のアパートを探した。その後、いぜん世話になった黒田さんに相談すると、少し田尚氏が必要だが住んでいる人のいない農家なら3軒、あてがあると言った。

 一緒に見に行くなら、連れてってやるよと言ってくれた。数日後、三井賢治が、若い施設長の石動健太と平野宗助も一緒に連れていった。3軒とも古くて回収する必要があったが、部屋は全部で10畳以上の広さで15室あった。手直ししてくれば十分に使えますよと石動健太と平野宗助が言った。これで男女別で30人は収容可能。もちろん就職するなら会社の金で改修すると伝えた。すると学生時代の友人のつてを利用してできるだけ人集めを手伝いますと言ってくれた。
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