(二)-7

文字数 284文字

 マキは勢いで楽屋を出たものの、真新しい建物の廊下の突き当たりで立ち止まった。目の前にはドアがあった。その先は劇場で、終わったばかりのコンサートから帰る客が、まだ多くはないが残っているようだったからだ。
 マキはその場でドアに向かって立ち尽くした。
 心臓の鼓動が早くなる。体がこわばり、声も出なくなる。
 半年間の活動休止期間に入る少し前からそのような嫌がらせ行為があった。活動休止中はさすがになかったが、活動再開した前回にはなかった。だから今回のライブでも、そんなことはないと思っていた。そう考えたのはマキだけではない。マネージャーのつぐみだって同じ意見だった。

(続く)
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