第14話

文字数 1,110文字

 自宅の最寄り駅で電車降りて徒歩で帰っていると後ろからまた彼女が現れて、
「私の金を返して」
と言った。私は知らないと言って、通り過ぎると「泥棒」と大声で彼女が叫んだ。多くの人間たちが私を見たが私は知らない顔して先に歩を進めた。後ろを振り向くと彼女が追ってきていた。私は面倒だなと思っていた。私がマンションに入ろうとするとき一人の男性から呼び止められた。名刺には代理人と書いてあった。一瞬彼女が雇った人間かもしれないと思った。そのことを尋ねると「違います」と彼は答えた。私は彼女から付きまとわれていて困るから、彼女から逃げたいので、対応してくれるようお願いした。金銭は払うことを約束した。彼は、「わかりました」と言った。振り向くと20m後方で彼女がこちらを見ていた。男は彼女の方に向かって行った。私は2人を残し部屋に入った。部屋の窓から、彼ら2人が話しているのが見えた。しばらくすると話が終わり、彼女は自分の部屋に帰って行った。私の部屋から、彼女が部屋に入って明かりをつけるのが分かった。呼び鈴が鳴り、代理人が私の部屋の玄関に来ていた。
「何ですか?」
「私は代理人をしているものです。ある方から依頼を受けまして、あなたに伺いたいことがあります。時間を頂けないでしょうか?」
「何の件でしょうか?」
「以前お金をそれもかなりの多額の現金を拾われましたよね?」
「いいえ」
私はそうですと答えることが怖かった。
「実はお金を拾うあなたが映った動画を持っています。マンションの玄関から引きず  
 るように段ボールをエレベータに押し込むあなたが映っています」
「知りません」
「対応して頂けませんか」
「知りません 困ります」
「全く対応して頂けないということですか?」
と彼が言い、さらに続けた、
「分かりました。これから動画サイトにその動画を顔をオープンにしてアップしますので、ご覧下さい。その後で話が必要と考え直してもらえるなら、連絡をください」
と言った。ドアのポストには名刺が差し込まれた。私はパソコンで代理人が指定するサイトを検索した。数分後動画がアップされ箱をエレベーターに引きずり込む私が映っていた。箱の中には多額の現金が入っていたことを書いてあった。私たちはそのお金を取り戻すように彼と話し合いを行っていますと書いてあった。私はどうしようか考え始めた。絶望的だなと思った。返す金の減額交渉をしなければならないなと思っていた。まだ大部分の金は残っていたのだが、返したくない気持ちもあり、また全額返せと言われた時のことなどを想像し始めた。どちらにしてもダメージが大きかった。頭を何度もハンマーで叩かれたような思いであった。そのとき電話が鳴った。
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