第6話 将来の夢

文字数 569文字

○亀山家の夕食時 19:00

亀山家では、夕食の後当主の宗太郎と三人の息子との間で、将来の夢について話し合われる。

コホンと、さては一郎、将来の夢について聞かせてくれないか。おまえたちの将来の夢を聴くと、父さん仕事にも張り合いがでるというもんだ。
コーヒーカップを置いて、長男一郎に語りかける当主の宗太郎。
僕は、この間T大の大学院に入る事ができたからね。博士号をとって、分子生物学の研究者になろうと思うんだ。狭き門だけど。僕にできるかな。
うん。立派な道じゃないか。己を信じて歩みなさい。

二郎はどうだ、何か確信があるのか。

僕は、W大でロボット工学を専攻しているからね。将来はエンジニアになって、ロボット達の力で社畜の人達を労働地獄から解放してあげるんだ。そうすれば、お年寄りの年金問題もしぜんに解消されるしね。
うん。うん。一郎も二郎も立派だ。父さん、お前達の夢は全力で応援する。約束する。
感動のあまり、ハンカチで目頭を抑える宗太郎。
それで、三郎。おまえは将来?

もう、二浪もしているんだ。そろそろ大学に行って確かな道を見出さないと。

僕?

僕は将来、亀になるんだ。

ん?亀?
うん。硬い甲羅の中でジーッとしてて、

目の前に餌が来たら、パッと食べる。

食べたら、また甲羅の中で安全に過ごす。

堅実だろ。

ふーっ。

(この野郎、また三浪して自宅警備員きめこむつもりだな)


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