ミルクミルクティー

文字数 1,255文字

 娘が私の紅茶を覗き込んで「なにこれ、色うっす(薄い)」という。
 私はミルク比率が高いようだ。入れ過ぎている。大抵はティーバッグをお湯に浸しその後ドボドボと牛乳を注ぐ。6:4または7:3くらいの比率である。そんなに入れてぬるくならないの?とも言われるけれど、ぐつぐつに沸かしたお湯へ投入するので牛乳を注いでも、熱々ではなくとも温かな飲みものとして飲める。もしぬるいようであればレンジでチンする。その辺は臨機応変に。
 娘に、毎度毎度「入れ過ぎでしょ」「今日もうっすい」と言われるが放っておいてほしい。
 
 世間には、ミルクティーと書かれた粉状で売られているスティック形態の袋がある。スティックの袋をピリリと開けて中の粉をマグカップに入れ150ml程度のお湯を注ぐだけでミルクティーが出来上がるという代物だ。お湯さえあればミルクティーになるお手軽さのため、以前は旅のお供として持参していた。旅先のホテルで、朝でも夜でも飲みたいときにホットミルクティーを飲むための手段として。少々甘めではあるけれども、ないよりはいい。甘みも非日常感と相まってほんのりと安らぐ一杯となる。

 コロナ禍前はよく旅をしていたほうなので、その粉スティックものを購入しては残りを帰宅後消費するという繰り返しをしていた。いつしか、甘いものが飲みたいときには、コレ便利、と手軽な粉ものを利用するようになった。

 さて、このたび私が入れた粉スティックミルクティー。実は、家にいるときは更にそこへミルクを注ぐのが習慣である。
 そこで冒頭の娘の言葉となる。ミルクティーとして配合され、お湯を注げば完成品、のものへとミルクを注ぐのだから、当然色は薄くなる。でも少しばかりロイヤルミルクティーぽくて美味しいのだ。
 薄い薄いラテカラーの飲み物に、娘が命名した。ミルクティーにミルクをたしているから、
「それはミルクミルクティーだね」
 ううむ、一理ある。こんなにミルクミルクしているけれど配合比率は不明でロイヤルミルクティーと呼ぶにはおこがましい。となるとミルクミルクティー以外の何物でもない気がしてくる。
 
 マグカップの中で作るティーバッグとお湯とミルク、の組み合わせでも結局はミルク率高めであるし、基本はロイヤルミルクティー味が好みなのだろう。ただ、普段は手軽さ一番で作るので、お湯ドボドボドボ牛乳ドボドボである。
 ミルクミルクティー。
 私の一番身近な飲み物かもしれない。娘の命名、なかなか気に入っている。

 窓の外はしんしんと降る雪。
 熱々の紅茶だけでもあの香りが、ホットミルクだけでもあのほっこり加減が、心も体も癒して安らぎ最上級を連れてくるけれども、互いが混ざり合うことでより際立つ。
 両手でマグカップを包みこみ、ふうふうと息を吹きかけて、ほんの少し口に含んだときの寿福感。
 今日もたっぷりのミルクと紅茶を好き勝手に配合する。雪が何もかもを吸いとっていきそうな静けさと、雪の匂いが辺りを包むひととき。ホットミルクミルクティーがとびきり美味しくなりそうな冬の宵。

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