第6話

文字数 549文字

愛があれば何でもできる?

愛があればなんでも出来るって?誰が言ったよそんなこと。
こんなのは情がなけりゃ出来ないよ。
茶封筒に入った書類を手に持って道路を駆けながらそう考えた。
朝出かける時に「この書類今日使うんだ~」とパヤパヤの頭で言っていたくせになんでその書類が玄関に置きっぱなんだよ。忘れたのか? あえてか? どちらか分からないが15分前に出かけたアイツを追いかけるために飛び出した。(勿論しっかりと戸締りはした)全力疾走なんていつぶりにするのだろうか。坂を駆け下りて駆け上ってぜーはーいいながらアイツを追いかける。
なかなか後ろ姿が見えないので意外と歩くの速いんだなとか、一緒に歩いてる時はゆっくり歩いてくれていたんだなとか思ったりした。
そこでようやく後ろ姿が見え「俊介!」と名前を呼ぶ。
そうすると俊介はゆっくりと振り返り「なんでここに居るの?」と言いやがる。お前の忘れ物を持ってきたんだよ。
「これ……!」
「あれ?俺忘れちゃってた?!ごめん彰くん」
「いいよ間に合って良かった……あーしんど」
地面にしゃがみこみ盛大なため息を吐く。
「ほんとにゴメンねぇ、今日のご飯は外に食べに行こ?奢るから」
「頼むわ……」
じゃあまた連絡する、と言えばにこーっと笑うのでやはり情がなければこんなことできやしないと思うのだ。
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