第23話

文字数 996文字

その時だった。
バーーーーン、バン、バン

ダリウスがすぐに反応した。
リセを地面に押し倒し、おおいかぶさるように伏せた。
バンバン・・パン、パン、パン、ダダダダダ・・ドン!

爆竹が破裂するような音。
「リセ!!逃げるぞ!!」
ダリウスが礼拝堂に、リセの体を抱くように飛び込んだ。

「車を爆破されたかもしれない・・こちらに攻撃してくる可能性がある」
ダリウスは、壁に身をつけて、カーテン越しに、外の様子をさぐった。
「お前の姿を見られたのなら、すぐ来るはずだ」
すでに、腰のベルトからナイフを抜いていた。

「リセ!護身用の銃を持っているか!?」
「いいえ、ないです」
ダリウスは舌打ちをすると、祭壇の引き出しの奥、裏を探り小さな銃を取り出した。
「銃は・・これしかないな。すぐに館に移動する。狩猟用ライフルがある」

リセがダリウスの腕に触れた。
「ダリウス様、安全な場所に逃げる算段を・・」
敵の状況がわからないまま、応戦するのは危険だ。
護衛はまず、主人の身の安全を確保するのが最優先に行動する。

「脱出のための時間を稼ぎます。
まず煙幕玉と閃光弾を使って、風魔法で、煙の流れをコントロールして・・」
そう言いながら、リセは、スリングショットとポケットの小袋からいくつかの玉を出した。

「ですので、ダリウス様、その間に祭壇の後ろの窓から脱出してください。
私がここでなんとかくい止めます・・」

「お前、接近戦で瞬殺されるぞ!」
ダリウスはあきれた顔をしたが、すぐに、祭壇脇の大きな飾り戸棚を蹴っ飛ばした。
すると戸棚がスライドして、下にぽっかりと階段が見えた。
人が一人やっと通れるくらいの狭さで、階段の先は暗い闇で包まれている。

「非常通路だ。屋敷の納屋につながっている」
ダリウスがリセの手首をつかんだ。
「煙幕玉を貸せ。俺が投げる」
「だめです!!煙を吸うと喉がやられます!すぐに離脱をっ!!」

リセはスリングショットをかまえた。
「入口の扉に2発当てます!!」
パンパンという軽い音がすると、白い煙が勢いよく広がった。

「行くぞっ!!」
ダリウスの声と同時に、リセは肩をつかまれて避難通路の壁に叩きつけられた。
ダリウスがすぐに戸棚を閉めたが、戸棚の下の隙間から白い煙が入ってくる。

リセが小型電灯で先を照らしたので、ダリウスが狭い通路の先を指さしたのがわかった。
「こっちだ。この先が納屋だ」
通路の先、隙間から光が抜ける木戸を目指して、ダリウスが先に大股で進む。
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