第9話

文字数 332文字

 勇者の死体を教会に安置した後、私達二人は宿屋に泊まることになった。

 私から誘ったのではない。
 彼女がどうしてもそうしたいと言うからそうするのだ。彼氏がいなくなって寂しいので、私に一緒にいてもらいたいらしい。

 その日、宿屋は混んでいた。
 近くで祭りが行われていたので、宿泊客が大勢いたのだ。
 部屋は一つしか空いていなかった。
 ベッドも一つだ。

「どうしましょうか」
「……」
「やっぱり、よくないですね。若い女性と二人で一つの部屋に泊まるなんて」
「私はかまいませんよ」

 彼女が顔を赤くして下を向いた。
 そして私の手をギュッと握る。

「本当にいいんですか」
「ええ、かまいませんよ」

 そうか。
 彼女がそういうのなら仕方がないな。

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