第1話 プロローグ

文字数 246文字

初老の男が杖を突き、天を仰ぐ。

「今までずっと嘘をついてきた。自分にも周りにも…。過ぎゆく時は残酷で幸福で『真実』なんてものはどうでもいい。嘘をつくのも無駄な事だが、事実をありのまま話したところで、そこにはどうしたって主観が入る。それは事実と言えるのか?…人を想い嘘をつく事と、人を想い真実を話す事にどれほどの違いがあるというのだ?」

そう呟くと、男は少し苦しそうな表情を見せた。

「なあ、拓也…お前は…お前にとっての真実は、お前にしか見つけられない…。」

崩れるように、男は倒れた。
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登場人物紹介

斉藤拓也(さいとうたくや)

父親の病気をきっかけに、父親の過去を調べ始める。

木本弘美(きもとひろみ)

拓也の恋人。孤児だったが、現在は明るく評判のいい看護師。

斉藤隆(さいとうたかし)

拓也の父親。公務員。

小野美咲(おのみさき)<サキ>

「ミラージュ」のダンサー。

小林登(こばやしのぼる)

中島の同級生。

中島清太郎(なかじませいたろう)

隆の先輩。中学時代同じ部活(野球部)だった。

間宮潤子(まみやじゅんこ)<ジュン>

「ミラージュ」のダンサー。

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