第1話 プロローグ
文字数 246文字
初老の男が杖を突き、天を仰ぐ。
「今までずっと嘘をついてきた。自分にも周りにも…。過ぎゆく時は残酷で幸福で『真実』なんてものはどうでもいい。嘘をつくのも無駄な事だが、事実をありのまま話したところで、そこにはどうしたって主観が入る。それは事実と言えるのか?…人を想い嘘をつく事と、人を想い真実を話す事にどれほどの違いがあるというのだ?」
そう呟くと、男は少し苦しそうな表情を見せた。
「なあ、拓也…お前は…お前にとっての真実は、お前にしか見つけられない…。」
崩れるように、男は倒れた。
「今までずっと嘘をついてきた。自分にも周りにも…。過ぎゆく時は残酷で幸福で『真実』なんてものはどうでもいい。嘘をつくのも無駄な事だが、事実をありのまま話したところで、そこにはどうしたって主観が入る。それは事実と言えるのか?…人を想い嘘をつく事と、人を想い真実を話す事にどれほどの違いがあるというのだ?」
そう呟くと、男は少し苦しそうな表情を見せた。
「なあ、拓也…お前は…お前にとっての真実は、お前にしか見つけられない…。」
崩れるように、男は倒れた。