私はその内ぶっ刺されるのか?ギリギリでは生きていたくないが…… 

文字数 1,795文字

今朝仕事に向かうバスで、マスクをせずに大声で電話をかけ、あげくに床に唾を吐きまくるという不届き者に遭遇した。三十代前半ぐらいの男性である。その時、バスの二階は空いていて、その男を除いては、私とあと二人ぐらいしか乗っていなかった。一人は、小太りで眼鏡の若い男性。内向的っぽい見た目。もう一人は、私よりも遥かに華奢な若い男の子だった。明らかに弱そうなメンバー構成であるので、男は専制君主のごとく(!?)、床に唾を吐きまくっていたのだ‼ 
 
最初は無視しようかと思ったのだが、途中でアドレナリンが漲ってしまい、私は後部席に向かって叫んだ。 
「マスクをしてくれません?それで、唾を吐くのをやめてくれませんか?」
 
男はマスクを出す素振りも一切なしに、興奮した様子で言い返してきた。 
「俺は電話してんだよ!電話してんのにどうやってマスクするってんだ(←!?)そもそも、あんたの席と俺の席はこんなに離れてるんだから、関係ないだろうが。」
「空気感染するから。空気を通してウイルスが移動するの。」 
「はぁ?そもそも、お前の国のせいでコロナが流行ってるんだろうが……。どこの国がウイルスの発生源だよ。」  
男は私がアジア系というだけで、某国(あえて国名は控える)出身と思い込んだらしく、右翼御用達の議論を持ち込んできた。これは予想の範疇である。  
「どの国のせいとか、誰も(公式には)知らないだろう!私の国とも私とも一切関係ないわ。しかも私はここに住んでるんだ。」  

  こんな感じで無意味なやりとりを少し繰り返した後、私はまた前を向いて、男を無視することにした。こんなに話の通じない人と議論をする意味がないよ!

 男はまだ、『俺の一族は先祖代々この土地に生まれ……うんぬん。』と大きな声で言っていたが(笑)、これもガン無視だ。ここで、口喧嘩で勝つことは大切ではない。理詰めにして追い込みすぎると、かえって危険になる。「俺の方が最後までしゃべっていた=俺が勝った!」と思わせておけば良い。

ただし、周りが大人しそうな人達だから、好き勝手しても許される、とは思ってほしくないのである。どうせ注意されても、マスクなんかしないだろうが、たまには怒られときなよ、アンタ!と。  

その後運転手(二階建てバスの一階にいる)に通報するも、
「あー、警察呼ぶんだったらバス止めとくけど?」とすごい投げやりな返事をされる。
まぁ関わりたくないのはわかるけど。 
でも、あんたの仕事でもあるぞ。   
「警察?私が呼ぶの?(仕事行かなきゃいけないし)そんなのやりたくないんだけど。」と私。
「あー、私もやりたくないね。」と投げやり運転手。 
「なるほど、あなたもやりたくない。それで終わりってことね?」
キレ気味に確認すると、運転手はただ肩をすくめただけであった。こ、こやつ……。

その後、車両番号を控え、バス会社に安全上の問題としてこの一件を報告した。   

私がバスを降りた時、華奢な方の男の子が近寄ってきて、
「ごめん、僕も何か言うべきだったのに。事を大きくしたくなくて……。何か言うべきだったよね。あんなことがあって災難だったね。」と声をかけてくれた。優しい子である。 

いやー、それでいいのよ。華奢とはいえ、男の子が対峙したら、『やんのかよ?表出ろよ。』ていう風に暴力に持ち込まれる可能性もあるから余計に危ないよ。口うるさいアラサー女性に任せておきな~、となんか急に母的な気持ちになった。 

ちなみに、私がよその人と喧嘩しているとき、夫はいつもこの理論にのっとり、離れたところに行って他人のフリをしている。笑 

「僕が出ていったら収集のつかない喧嘩になるじゃないか!殴り合いは避けられない。女性は殴られないから大丈夫っ。」と言って。

実際、私も文句言いのベテランであり、本当に危険そうなタイプからはちゃっかり距離を置くようにしているし、逆恨みされない程度ギリギリの文句に留めてはいる。 

でも、こういう向こう見ずな事を繰り返していると、女性とはいえ、いつか本当に危険な目に遭うかもしれない。しかも私は結構気が小さいので、文句言った後で、「顔を覚えられて、後々ぶっ刺されちゃったらやばいよな~。簡単に忘れるタイプであってくれ!」とブルブル震える。

アドレナリンよ、勝手に放出されないでくれ。

むしろバスの運転手を見習うべき?と、ちょっと反省した一日でした。  

 
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