留学で自尊心がバッキボキに折られた話③ - むかしばなし 

文字数 1,647文字

「留学先で自尊心がバッキボキに折られた話①②」で、留学生としてドン底に陥ってしまった私。英語も話せなけりゃ、友だちもできない。  

今日は私がどうやってそこから這い上がったかについて。 

 まず留学先大学での勉強のこと。授業内容は50%しかわからなかったが、見た目が真面目(というかファッションに興味がないだけ)で、かつ授業に出席し続けているということで、先生に頑張っている学生と思ってもらえた。結果、色々と気にかけてもらえるようになった。  

 クラスでは(授業についていけないので)押し黙っているが、先生と二人になる機会があると、自分をわかってもらおうと努力した。「授業はどう?」と聞かれれば、「本当に面白いです。毎日、学ぶことがたくさんあります。でもやっぱり英語が難しくて…。」みたいに答えたりして、印象を良くするように努めた。努力の方向性が違うかもしれないが、文系の場合、大学で先生の人間性にアピールする方法は概してかなり有効である。これのおかげで単位は全取得だッッ!!

次に友達に関して。 
やはり授業でも寮でも、英語ネイティブの友だちは全然できなかったのだが、主に寮を通じて、他のアジア圏の友だちがたくさんできた。特に友だちを作ろうと頑張らなくても、アジア人というだけで親近感があるのか、簡単にグループに入れてもらえた。彼女たちと旅行に行ったり、ランチに行ったり。楽しいだけではなく、特にマレーシアの子とかは、向こうの方が全然英語スピーキングが上手いので、一緒にいて勉強になることが多かった。 

今思えば、その寮は、①英語ネイティブ②ヨーロッパだけど英語圏じゃない人③アジア人 の3グループに分断されていた。寮でネイティブの友達ができなかったのは、私の努力うんぬんの問題じゃなかったのかもしれないね。  

 アジア系以外の友達は、思いがけず、大学以外のところで作ることができた。私は中学の頃からある武道をやっていたので、留学先でも地元の武道クラブに通うことにした。武道クラブの会員はおじさんばっかりだったが、英語が拙い私でも、日本の武道家というだけで丁寧に対応してくれた。そこでネイティブの人と英語を話す機会にも恵まれた。芸は身を助けるねー。  

 寮の騒音・学生パリピすぎる問題は、運営に訴えてもなかなか解決されず、アジア系の友だちともども、肩身の狭い思いをした。だが、数カ月もすると、変に我慢することはなくなっていた。パリピ学生とは友達になれないので、彼らに気を遣ったりなどせず、自分の意見を言っとけばいいとわかった。「この人たちから恩恵を受ける可能性ゼロ」と悟ると、急に強気になるもんである。  

うるさい部屋が特定できると、怒鳴りこみに行ったりもした。結構、あらぶっていた…。笑    

また共有冷蔵庫から、誰かが私のチーズを盗んでいることがわかった時は、一枚一枚、フィルムの上に「泥棒!」「盗み!」と書いてみたり。 (その後チーズ盗難はなくなった。)    

そんなわけで留学は思い描いていたものとは全く違ったのだけれど、少数ながら良い人たちにも会えたし、色々と周囲に引っ張ってもらえて、無事に終了することができたのだった。 

留学中、英語の上達はさほど感じなかったが、何故か日本に帰国してからぐんとできるようになった。多分英語圏で留学を乗り切ったという自信がついて、大学の授業等で英語を話す機会を以前よりもっと積極的に利用できたのだと思う。

 留学先の経験って、良い点ばかり取り上げられがちだが、実は私と同じような苦い経験をした人もたくさんいるのではないか、と思っている。

 今もう一度全く同じ経験をしろって言われたら、もうそんなに若くないし、確実に御免こうむりたいけれど、この経験のおかげで成長ができたのも事実。 

 また、せっかくこんな酷い経験をしたので、8年近くたった今でも、時々、この留学中の話を持ち出して、話の小ネタにしている。

 読んでくださってありがとうございました。     


 

 






  
 

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